兎の中の人、都会に負ける

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 思っていた時間よりはゆっくりしすぎてしまったが、一駅区間は数分。  試験会場までは、10分もかからないだろう。  私はスマホで乗り継ぎを確認し、各駅停車の電車を待った。  しばらくすると、すぐに電車がやってきて「やっぱ都会は電車を10分も待たずにくるんだなぁ。すごいな。」と、感心しながらぴょんと乗り込んだのだ。  扉がしまり、電車がゆっくり走り出す。  ぼんやりと外を眺めてみると線路そばには桜も咲いていて、春の雰囲気を醸し出していた。    ただ不思議なことに電車はすぐとまるはずがなかなか止まらなかった。  さすがにおかしいと思い、私は田舎の電車にはない出入口上部にある電子案内板で確認をしたとき私は重大なミスをしたことにようやく気がついた。  ……これ、急行列車じゃん。
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