事件

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事件

 小さな路地裏で、飛鳥は夕日を眺めていた。キャッチボールをするはずが、いつの間にかボールを夕日に独り占めされた。ボールの弾く音が鳴り響く。 「今日の晩ご飯なんだと思う?」 聞こえていないのだろうか。夕日は何も答えない。 「ねえってばぁ」 飛鳥が叫ぶと、夕日はボールを弾く手を止めた。 ボールは転がり、夕日の家の車のタイヤにぶつかった。 「あ、やっべぇ」 夕日は車に傷がついてないか走って確認した。 「大丈夫?」 飛鳥は夕日の隣へ行き、一緒にって車の側にしゃがむ。 何も傷はついていなかった。 「あっぶねぇ」 夕日は悪戯げに笑い、立ち上がった。 「そろそろ家入ろうぜ」 「家ってどっちの?」 飛鳥は尋ねる。 2人の目の前には焦茶色とクリーム色の同じ形の家が並んでいる。焦茶色が飛鳥、クリーム色が夕日の家だ。 「こっち」 飛鳥は夕日の後に続いて歩いた。  
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