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第1話 金色
外に出ると今日も雪が降っていた。傘を差すほどではない雪が、しんしんと。
最近、雪が頻繁に降るようになった。気温がそれほど低いわけではないのに。
9月になったばかりの今日は本来まだ夏と呼べる季節のはずであるが、長袖のシャツと上着を着ていないと肌寒い。吐く息も早朝の時間帯には白く姿を変えた。灰色の雲がほぼ毎日のように空を支配し、何重にも重ねた体で太陽を隠して寒さに拍車をかけている。それはまるで真冬の空のように――世界がどこか壊れてしまっているのだ。
エイタは朝ご飯を食べ終えると一人で外に出て、雪が降る町の住宅街を歩いていた。目的地は特に無くて、食後の運動がてら軽く20分ほど散歩でもしようかと思い出掛けた。
誰もいない大通りを1人で歩くと、アスファルトに響き渡る自分の足音が心地よい。隣に並ぶ車も遠くの山の上に見える観覧車も動かない、ゆらゆら降り続く雪が世界を凍りつかせて時を止めているかのように感じられる……。
静かな景色の中を歩いていると、頭の中に余分なものが無くなり考え事に集中できた。けれど、この先の生き方とある1人の女の子についての悩みはいくら考えても答えがでない。
ふと、振り返り見上げる建物は住宅街の中にひと際高く、大きくそびえ立つ――それはエイタが現在住んでいる場所である公民館。
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