魔王だって驚く事がある

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 なんだかんだとディブィと話しながら片付けていれば、お昼寝から目覚めた魔王様が不機嫌顔で王座の間に顔を出す。 「シルベールはなんで私が起きた時に私の部屋にいないかな」  不貞腐れたまま玉座に座れば、長い足を優雅に組み、頬杖をつく。  様になってる。物凄く様になってるが、如何せんヨダレの跡が・・・。 「あんたがちゃんと片付けさえしてくれれば、望み通り傍にいるけどな」  肩を落として大きくため息をついて、最近俺につけてくれた俺の従者が濡れたタオルを持ってくる。  それで顔を拭いてやれば、満足そうにするんだからなんだか結婚も何もかもすっ飛ばして子育てしてる気分だ。  この俺の従者だって「だって一々シルベールが物を取りにいなくなるし」と母親を離したくない子どもな理由でつけられたのだ。  まあソコソコ気が利くし、目端が利くから俺が頼む前に、今みたいに欲しいものが手に入るのは有難いけどな。 「魔王様の腹心について話していたのですよ」  と、俺の知らない名前を次々と挙げ、後はいませんよね、と言った時には名前が六人目を数えた時だった。 「そうだったかな」  なんとも投げやりな言い方でガルが挙げた名前は指折り数えて十人だった。  数が合わないぞ?とガルを見れば「シルベールはここに座るといい」とガルの膝の上に座らされ、なんとも恥ずかしい。  そして俺の従者が何食わぬ顔で俺の手からタオルを持ってそっと王座の間から消えるのもいたたまれない。 「ディブィは知らないだけだよ」  楽しそうに言いながらガルは指を弄ぶ。  次に従者が現れた時には手に酒の入ったグラスを二個持ってきていて、俺に差し出した。その一つを俺の手から受け取り優雅に口をつけてから、とんでもない事を言い出した。
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