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「あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
「こちらこそ、今後ともご贔屓のほどよろしくお願いします……っぷ、取引先かよ!」
目の前の見慣れた顔がくしゃりと笑う。長い間会ってなかった気がするけど、実際はたった十日ぶり。
――今年も無事に年が明けた。
暖房を効かせた教室内は、久しぶりに会ったクラスメイト達の賑わいと、こもった空気が充満して少々気持ちが悪い。
室外との温度差で大きな窓ガラスは白く曇っている。雪が降っているか確認したかったけど、五分前に昇降口を抜けた時降ってなかったので、まだ降ってない。私が出がけに見たニュースは午後から降雪と伝えていた。
窓を睨んで考える。もっと早く降ってほしかった、と。
「そういえばどうだった?」
「どうって?」
「だからほら……」
周囲を見回しながら、口に手を当て私の顔を覗き込むように囁いた。
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