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「――例の告白。どうだった?」
そういえば終業式の日、話したんだった。私の目の前で机に腰掛けている彼女は、親友と呼べるほどよく遊ぶ仲。だから多少の秘密は共有されていた。
「駄目だったよ」
私の言葉を聞いて、「あちゃー、やっぱりそうか」と大袈裟に悲しんで見せる。彼女のオーバーアクションは時に鬱陶しく、時に救われる。今はたぶん後者。
「どんなだった?」
「別にいつもと同じ」
「ええ!でも最後のチャンスなのに……」
納得していないらしいが、実際に百回目の告白はあっけなく行われたのだからこれ以上言いようがない。雪も桜も降っていない中途半端なシーンでロマンチックの欠片もなかった。
「あんたの場合は前提が特殊過ぎてさ。でもよく百回もやったね。私なら五回くらいでぽっきりよ」
「私もそう思う。違う相手だったらね」
本当に馬鹿だ。私も、あいつも。
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