それからの日々

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***  中学校に入学する春。  新しい制服と環境にドキドキしていた入学式。桜が散ってほしくなくて、何とか入学式まで咲いていられるように祈り続けたかいあってか、その日は快晴で綺麗な桜の花びらが私を迎えてくれた。 「撮るぞ」 「はーい」  校門横に植えられた大きな桜の木の下、緊張した表情の私がフィルムに焼き付けられた。  この後は父と食事をする予定だった。家から少し遠いレストランなので、一度自宅に戻り車で行くことになっている。  そうして興奮冷めぬまま向かったレストランは、いつものファミリーレストランではなく、水にもお金がかかるような高級レストラン。私はますます緊張してしまい、通されたテラス席で人形のように大人しくしていた。  ただ、妙だなと思っていた。 「もうそろそろだな」  何故かやたら腕時計を気にする父を疑問に思いながら、私は遠くに見える連峰をぼんやり眺めていた。
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