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ある谷間にスモルバと呼ばれる小さな村がある。
そこでは人が一人乗れる程のドラゴンに乗った、いわゆるドラゴンライダーが住んでいた。
戦のないこの世界ではライダー達は荷物をよその村や町に届けたり、魚を捕ったり、あるいは集団で恐竜のような大型の怪物を狩って食料にしながら暮らしていた。
村民にとってドラゴンは家族の一員のような存在だ。
この村の男達は子供から大人までドラゴンライダーとして、女達は畑仕事やドラゴンの世話をしていた。
村のドラゴンは茶色の体で翼に手がついた翼竜の形をしており、各家屋に作られた小屋に住んでいた。
その村の12才になる少年、フォンがドラゴン『ディディ』と共に近くの川で魚を捕っていた。
ディディは器用に魚をつまんでは岸に放り投げた。
「お前、本当に魚を捕るのがうまいな」
岸に上がった魚を紐で結びながらフォンは話しかけた。
ディディは一瞬フォンを見て魚を探し続けた。
「父ちゃんの代から生きているなんて不思議だよな。ドラゴンは100才まで生きるって話を信じたくなるな。実際に見た事ないけどさ」
フォンの父親はライダーを辞めて他の町に出稼ぎに行っており、今は母親と二人で住んでいた。
父からディディを引き取ってから2年が経っていた。
子供のライダー達は村の近くの川で魚を捕ったり森で木々の伐採や鉱石を集めたりしていた。
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