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俺は いよいよ自分が
ダメになったのかと思った
コンビニの冷蔵庫が唸る音が
ずっと体に滲み込んで
不安定な気持ちになっていた
俺は木目の女に尋ねた
「君 名前あったら教えて」
「チヨ です」
「へえ? 昔の人なの?」
「まあ 昭和ですけど」
俺は いよいよ自分が
本格的に壊れたらしいと
自覚しながら 女に尋ねた
「チヨは いつから木目になったの?」
「昭和61年の3月から」
あまりに具体的な返答に
俺は好奇心をそそられる
「その時 何があった?」
「もう時間です また」
「おい!チヨ・・・」
会話をしなくなった木目は
静かな普通の座卓になった
もう時間って 何だ?
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