第2話 アイドルを辞めても愛されてる件について。ー匠Side

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今日は長ったらしいガイダンスを受けて1日が終わった。 明日から本格的に講義を受けるのか。 「明日、5限まであるのか。それに1コマ90分はなげぇな、大学」 「高校は1時間も無かったね」 「まぁ、高校もあんま行けなかったが、俺は」 「が、頑張らなきゃね」 「飯行こうぜ」 「う、うんっ」 レポートとかバカみたいにあるんだろうな。 だるすぎる。 昼になると、俺達は学食で昼食。 アイドル時代によく行ったテレビ局の社食と似た雰囲気の食堂でやたら懐かしさを覚える。 しかし、大学はどこに行っても人が多いな 。 「か、神城くん!」 ハルと昼食をとっていると、いきなり女子に声をかけられる。 「わ、私……ずっと神城くんのファンで! 握手……して貰えないですか?」 マジか。 「悪いけど、俺もうアイドル辞めたから。そういうファンサ的なのしないから」 俺は素っ気なく答える。 「す、すみません」 彼女は慌てて走り去っていった。 未だに俺はやたらと声をかけられてしまう。 一般人になってもそれはずっと変わらないんだろうな。 学食でもやたらちらちら見られるし、さっきのガイダンスでだって始まる前にLINE交換を求められたし。 「疲れた顔だね、匠くん」 「アイドルじゃなくなったら女子に塩対応するしかないからな。いちいち構ってられない」 「匠くんは彼女欲しいとか……」 「今のところは無いな。てか、いた事ないんだよ。彼女」 「が、ガチですか?」 「ああ。ファン皆が恋人」 「か、かっこいい……」 スキャンダルを起こすと人気も落ちるし、デメリットしか無いからな。 「というか、この人だって思える女が居なかったのもあるけど」 「そっか」 「ハルは?」 「俺は女の子に気持ち悪がられるばかりだから。好きな子も居なかったよ」 「気持ち悪がるとか酷いな」 「けど、キモいのは事実だし!」 「じゃあ今日は思いっきりかっこよくしてやる。見返そうぜ」 「うっ……」 この人だって思える奴が俺にも現れるのだろうか? 恋をしたら自分がどうなるかまだ知らない18歳の俺。
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