第1話 推しが友達ってアリですか?ー晴side

13/15
前へ
/119ページ
次へ
「はぁ、腹減った。やっと終わった」 「明日からオリエンテーションが始まるね」 「だな。講義の取り方と学内施設説明とかだっけ」 「う、うん」 「ハル、明日どの講義受けるか決めようぜ。同じ講義ならどっちか休んだりした時に助かるし」 「た、匠くんと同じ講義!?」 「そ。同じ学部だし、良いだろ?」 俺はずっと夢でも見ているのかな。 「けどさ、俺といて本当に良いの? 俺って根暗だし、同じ学部にもっと……」 「ハルは自分に自信なさすぎかよ。まあ、俺が自信ありすぎるのか。仕事が仕事だったし」 「だ、だって……」 周りにはイケてる男子学生だらけだし! 「そもそもその長い黒髪と眼鏡が自信無くさせてんだろ」 「そ、そうかな」 「表参道に知り合いのサロンがあっから予約してやるよ。大学生にもなって美意識が低いのはだめだぞ」 「けど、恋愛する気無いし……」 「恋愛するしないの問題じゃなくてさ。自分を高めた方が何事も前向きに考えられんだよ」 たくみんのはっきり言う性格ってアイドルの時のキャラしゃなくて素なんだ。 「そんな事言われたの初めてだ」 「あと、コンタクトにしろよな」 「こ、コンタクト!?」 「そ。素材は良さそうなんだよな」 「そ、素材?」 「明日、大学終わったら表参道な」 「えーっ! 俺には無縁な場所だけど」 「だから行くんだ」 やっぱり強引なとこはアイドルの時と変わらない! 「い、行かなきゃダメですか?」 「ああ。決定事項だ」 「お、オシャレな街にこんな俺が……」 「腹減ったし、飯行くか。大学近くにバーガー店あったはず。付き合え、ハル」 「えっ! お、俺とご飯?」 「一人だとやたら声かけられるし、つまらん」 「あの、俺すでにいっぱいいっぱいなんだけど!」 推しと5分以上話してるなんてなかなか無いし! 「知らんし。ほら、行くぞ」 腕引っ張られた!! 「ご、強引すぎる……」 だけど、これは夢じゃなくて現実なわけで。推し様が友達になったのも現実。 俺、今日が命日じゃ無いよね? 「ふぅ、やっと飯にありつけんな」 「た、匠くん….…変装しないんだね?」 「一般人になったんだぞ? ずっと変装してんのだるいわ。何でこそこそしなきゃなんねぇんだ」 「そ、そっか」 バーガー店に着くと、俺はたくみん……いや、匠くんと向かい合って座る。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

757人が本棚に入れています
本棚に追加