第1話 推しが友達ってアリですか?ー晴side

3/15
前へ
/119ページ
次へ
「皆、Jewer Star☆に会いに来てくれてありがとうー! 皆に会える日をずっと楽しみにしてたんだ、俺! 最後まで楽しめよなー!」 「俺達に夢中にさせちゃうねー!」 「ここにいる全員幸せにするからな!」 3人だけなのか、このユニット。 リーダーで俺様っぽいのが匠、爽やかな男子がユウキ、クールな雰囲気の最年長がカズマ。 カズマが中2で、匠とユウキが俺と同じ小5かぁ。 あんな若いのにもうデビューしてるのか、この人達。 しかし、俺とタカ兄浮いてないかな。 男子少ないし! だけど、彼らが歌い出した瞬間……そんな事気にも留めなくなった。 ーー側においでよ 一生キミを俺のモノにするから 「うぉっ、小学生ですげぇ歌歌ってんな?」 「タカ兄、静かにっ」 「へ? 晴?」 キャパの小さいホールの最前列。 最初はファンでもない俺達二人がこんな席で良いのかと恐縮したけど……。 あの匠って子、すごい。 ダンスも歌唱力も一番あるし、小学生なのに色気もある! 男だよ? 何で目が離せないのかな。 だけど、それを知ってか突然匠は俺に向かってウィンクした。 えーっ! お、男の俺にもぬかりなくファンサービス……!? 「晴!? 立って大丈夫なのか?」 「う、うん。だってあの子達に失礼だもん」 「そっか」 一瞬で心を奪われた。 当時は使われてない言葉だったけど、あれが沼に落ちた瞬間っていうやつだったんだろう。 ジュエスタのたくみん沼……! 「皆、また会おうなー! ずっと愛してる!」 ライブが終わるまであっという間に感じた。2時間あったのに。 「タカ兄、俺……グッズ買いたい!」 「えっ? は、ハマったのか? 晴」 「うんっ。たくみんのグッズ全部買うっ」 「そっか、楽しめたんだな?」 「うん。けど、次のライブは行けるかどうか……」 「行く為にも頑張って病気と闘わないとな? 晴」 「うんっ」 初めてだった、あんなに興奮する瞬間は。 初めてだった、また会いたいって思う存在が出来たのも。 「はぁ、新曲のたくみんのソロパートかっけぇ」 「晴、まーたジュエスタ聴いてるの?」 「うん、だって大好きになったんだもんっ。とくに、たくみん! 歌もダンスも上手でファン想いなんだ!」 「まさか晴が男の子のアイドルにハマるなんてね」 「ジュエスタは曲聴いてると、元気になれるんだ!」 まだまだおっきなユニットじゃないけど、ずっと応援していきたい。 彼らが……俺に生きる希望をくれた。 なのに……
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

758人が本棚に入れています
本棚に追加