第1話 推しが友達ってアリですか?ー晴side

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「うっ……」 「晴!!」 病気はなかなか良くならない。 ライブも他のファンほどたくさん行けない。 次に外泊許可がいつ出るか分からない。 「はぁ……苦し….…」 「すぐ先生呼ぶからね!」 いつも、目覚めたら病室で。 ずっと応援していきたいのに、もし早くに俺が亡くなったらどうしよう。 ずっとジュエスタを見ていたい。 また、あのキラキラしたステージに行きたいのに。 「晴、大丈夫かー? またジュエスタのCD買ってきたぞ」 「あ、ありがとう……タカ兄」 だけど、新しいCDが出る度にタカ兄が買って来てくれるから気持ちは救われる。 「またライブ連れて行ってやるから早く元気になるんだぞ? ほら、ジュエスタヲタクの友達からたくみんのブロマイド貰った」 「わっ! たくみんのブロマイド!」 「本当男見て何が嬉しいのか俺には分からないけど……」 タカ兄の発言に俺はむっとする。 「タカ兄が特撮好きなのと一緒だよ! たくみんは俺のヒーロー!」 「そうか。それなら何となくわからなくもないな」 「はぁ、かっこいい。俺と同い年なのに……すごい輝いてるなぁ」 「そんなに好きならファンレター書けば?」 「む、無理だよ! 俺ごときがファンレターなんて」 「返事貰えるかもだぞ?」 「は、恥ずかしいから!」 ファンレターを書く勇気は到底ない。 「……身体大丈夫か?」 「もう、ずっと病院だよ。外泊は厳しいって。ジュエスタに会ってもう半年。ライブはたくさんやってるのに……」 「最近箱もでかくなってきたみたいだな。握手会もあるらしい」 「あぁ、悔しい! 何で行けないの….…」 「まずは治さないとだからな?」 「分かってるけど! 全然良くならないんだよ!」 「晴……」 「ご、ごめん……タカ兄」 「良いよ。晴が苦しいのは分かるから。俺だって代われたら代わってやりたい。けど、今は耐えるしかないんだ」 頑張って治して、またライブに行く! その為に毎日治療の日々。 だけど、良くなっている感覚は無い。 それでも、もう一度会える事を信じたい。
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