第1話 推しが友達ってアリですか?ー晴side

5/15
前へ
/119ページ
次へ
「……手術?」 「うん。アメリカにね、名医がいるんだって。手術をしたら治るって先生が……」 小6の冬、母から突然手術を受けないかと言われた。 「お母さん….…俺、手術受けたい!」 「晴….….」 「ねぇ、難しい手術なの?」 「それは……」 「けど、手術受けなきゃずっと病気に苦しんでずっと病院にいなきゃいけないんだよね? だったら、俺は治る可能性に賭けたい」 「晴なら大丈夫よ。きっと大丈夫……」 母は泣きながら俺の手を握った。 ずっと病院にいて、ろくに学校にも行けない、ジュエスタにも会えない。 そんな日々に嫌気が差していた。 だけど、不安はある。 手術が簡単では無いという事実があるからだ。 夢ではたくさんジュエスタのライブに行けて、たくみんのメンバーカラーである赤いペンライトを振っている。 眠る時にいつも音楽プレイヤーでジュエスタの曲を聴いてる俺がいけないんだけど。 「晴、来週にはアメリカに行くんだろ?」 「うん。そうだけど……」 「ふふふ。アメリカに発つ前にずっと頑張ってきた晴にクリスマスプレゼントがありまーす!」 クリスマスが近づく頃、タカ兄が見舞いに現れた。 「は? タカ兄?」 「先生を説得しまくって1日だけ外泊許可貰ったぞ! というわけで、ほら! 握手会つきミニライブのチケット」 「じゅ、ジュエスタの!?」 タカ兄がくれたチケットにはJewel star☆の文字が。 「そ。たくみんと話せるぞ!」 「2、2回目のライブでもうたくみんと話せちゃうの!?」 「アメリカに行く前に会って話せる、最高じゃんか! 晴ー!」 どうしよう、ライブ動画やブロマイドで散々たくみんの顔は見たけど、ライブ行くのはまだ2回目だし、話した事もないたくみんと話すなんて! 人見知りだし、上手く話せるか。 それに、男のファン少ないからどんな事言えば良いか分からないし。 「混乱してるって感じだな? 大丈夫。俺は行けないけど、おばさんがついてるから」 「た、タカ兄行けないの!?」 「予定があってさ。大丈夫、いざたくみんに会ったらきっと話せるって!」 「う、うん……」 病室にはたくみんのCDとブロマイドが大量に置かれている。 「ほら、ブロマイドに向かって練習してみ?」 「え、えっと……あま……あま……天沢晴です……」 「声が小さいぞー? 晴」 ただでさえ久々のライブに緊張するのにっ。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

758人が本棚に入れています
本棚に追加