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「匠の握手会ご参加ですね? どうぞ、こちらへお並びください」
「は、はい……」
けど、たくみんにちゃんと伝えたい!
いつも支えて貰って感謝してる事。
ぎゅっと服の裾を掴みながら何を話そうか考えていると、すぐに自分の番が来た。
「あっ、男の子だー。珍しいな!」
目の前に現れた推しに俺は動揺する。
すごい周りにキラキラしたオーラ見える、やたらかっこいい!
男子なのにときめく!
「は、はじめまして! 天沢晴……です。えっと、同い年ですごくアイドルを頑張っていていつもかっこいい匠くんを尊敬してます!」
「ありがとうな! 男の子のファンってあんまいないからさ、すげぇ嬉しい!」
気持ち悪がらないんだ、さすがたくみん!
「けど、またライブ来れるか分からなくて。実は俺……病気で……来週手術するけど上手く行くか分からなくて」
たくみんに何言ってるんだ、俺!
「そんな事言うなよ。絶対また俺に会いに来いよ! 絶対大丈夫だから! 俺、晴の病気が治るって信じるから!」
な、名前呼びされた!
「あ、ありがとう……」
「うん。俺との約束、絶対また会いにくる事!」
たくみんと俺は握手をする。
本当に神対応のトップアイドルだ、たくみん!
手術に対する不安はたくみんの言葉で吹き飛んでしまった。
また絶対会いに行かなきゃ!
そうして、俺はアメリカの病院で手術を受けた。
難しいと言われていた手術は無事に成功し、何とか俺は病から解放された。
だけど、あれからジュエスタはどんどん大きなユニットになっていった。
今迄小さなホールやライブハウス止まりだったライブ会場も今やドームやアリーナクラスの会場ばかり。
ファンが増えすぎた為か、握手会も行わなくなった。
大きなユニットになっていくのは複雑だけど、それでもおっきなステージで幸せそうに歌うたくみんを見たらそうも言ってられない。
いつだってたくみんは俺のヒーロー!
「ジュエスタのライブ当たっちゃった!」
「すごい! 超倍率高いのにっ」
「今年の運使い果たしたかもー」
俺がジュエスタのヲタクになってから7年。俺も今や18歳だ。
高校3年生になった俺、天沢晴は変わらずたくみんに全力の愛を捧げ中。
ただし、クラスの人達には内緒。
話をしたいとは思うけど……。
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