第1話 推しが友達ってアリですか?ー晴side

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「何? 天沢がこっち見てるんだけど」 「超キモい。こっち見るなし」 高校生になっても尚、友達はいないし、病院生活が長すぎて人見知り拗らせ中、安定の根暗男子。 たくみんに比べたらずっと地味な俺。黒髪眼鏡のひょろがり妖怪とか裏で言われてるし。 クラスの女子は容赦無い。 握手会とか今無くて良かった。 今の俺の姿、たくみんに晒すなんて生き地獄だもん。 こっそり休み時間は一人でジュエスタの曲を聴く。 学校で浮いた存在でいても、悪口言われても、気にもならないのはジュエスタの存在があるから。 俺の気持ちを救ってくれる、いつだって彼らは。 どんな君も受け入れるよって歌詞、俺にはありがたみしか感じない! しかもたくみんのソロパート! 永遠に聴いてられる! 昔と比べて最近は二階席ばかりで、ずっとたくみんから遠くなってしまったけど、たくみんのあの言葉のおかげで今、俺はこうして元気に生きている。 神様のような存在だわ、本当。 こないだサスペンスドラマのゲスト俳優でたくみん出たし! これからアイドルだけでなく俳優としても活躍するんだろうな、演技も出来ちゃうたくみん最高だよ! 高校生とは思えないセクシーさだし、こないだ国宝級イケメンに選ばれたし! 一生推しだ!! そう、たくみんがじいさんになってアイドルしてても推してる自信がある。 「晴、たくみんがバラエティに出てるわよ!」 「ありがとう、母さん! わっ、バンジージャンプ挑戦するんだ!?」 帰宅してすぐ、たくみん出演のバラエティが始まった。 「普段俺様なわりにびびりなのね? ださいじゃない?」 「はぁ? そこが尊いんだし! びびりながらも頑張ってくれてるたくみん素晴らしい」 「あんたには何言っても褒めで返ってくるわね」 「俺の推し様は世界一だよ!」 「はいはい。けどね、晴。クラスに好きな女の子いないわけ? 男子にきゃあきゃあばっか言ってたら結婚……」 「たくみんが出てる時に話さないで!」 「もう……」 恋愛なんて俺に出来るはずもない。 俺みたいな地味ださ男子を好きになる人がいるとは思えないし。 今はたくみんの推し活で忙しいし。 俺が誰かと恋をするなんて全く想像もつかない。
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