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「ほら、母さん見た? たくみんバンジージャンプちゃんとしたよ! 10分かかったけど」
「はいはい。あーあ、うちの息子の将来が心配だわ」
学校は楽しくないけど、たくみんを推す事で俺は無事に人生を楽しめている。
ずっとこんな日々が続くと思い込んでいた。
なのに……
「本日をもちましてJewer Star☆は解散致します。そして、僕、神城匠は芸能界を引退致します! 皆さん今迄応援ありがとうございました。こんな事になってしまい、非常に申し訳ない気持ちで一杯ですが……。これから僕達はそれぞれの道を歩みます!」
高校3年の冬、テレビの中にはスーツを着て会見をするずっと大好きだったユニットのメンバー達。
そして、たくみんから発せられた芸能界引退宣言。
「何で? 今あんな人気絶頂だったのに」
「なんか、仲間割れってネットニュースになってるわね」
「嫌だ、信じたくないよ! それに芸能界を引退って。たくみん、ユニット1活躍してたのに!」
「晴……」
「どうして……もうたくみんに会えないなんて……地獄だーっ!!」
神城匠という神的存在なアイドルは突如、芸能界から消えてしまった。
俺は何を生きがいにすれば良いの?
ずっと芸能界で光り輝くたくみんを見ていたかったのに。
もう会えない、その事実は俺を締め付ける。
たくみんにもう一度会う為に生き延びたようなものなのに……。
下手したら入院してた時より辛いかも。
「あら、スーツ似合うじゃない。けど、もっと髪切って眼鏡外したらもっと良いわよ」
「遠回しにださいどうも」
「母さんは褒めてるのよ!?」
「大学生かぁ……」
「きっと良い事あるわよ!」
「たくみんのいない世界なんて生き地獄だし」
「もう、何ヶ月引きずる気?」
それでも、俺の人生は続くわけで。
ずっと入院して散々親に心配かけた分、恩返ししたくて一流大学に何とかして進学し、これから良い会社に入れるように人生設計をしなければならない。
何でこんな辛い気持ちで大学生にならなきゃいけないんだろう。
たくみんが決めた事だけど、ジュエスタのライブに今後一切行けなくなるなんて事考えた事も無かった。
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