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ほれみろ。やはりこんな事だろうとおもった。私はそんな危険な所に向かった兄弟が、どのような末路を辿ったのかを知っている。知っていると言っても、姿をくらましたということしか知らない為、彼らが不幸に陥ったとも限らないのだが。 しかし、私はここが好きだ。だから私からしてみれば、ここを離れなければならないかもしれない場所にはあまり近寄りたくはなかったのだ。
「そう言ってもお前さん。今日に限っては食うにこまってるんだろ?」
「しかしだ、それでおまえと会えなくなるのは俺としては辛いのだよ。」
「嬉しい事を言ってくれるね。けどな、俺の仲間が1度や2度それを食べたと言っていたが、そいつらは今も俺の上の段ですやすやいびきをかいているよ。2段ベッドの上の段な。」
「つまり、何が言いたい。」
「要するにそこの藻を食べた所でこの海を離れなくちゃいけないという話ではないということだ。お前さんがさっき叔父になっていたと言っていたが、明日以降も同じように断食をするつもりか?」
確かに彼の言い分は正しかった。我々の世界は早い者勝ち。食うに困るかどうかのご時世だ。そんな世の中いつまでも飯が保証されるなんてありえない。だから私は変わり者と馬鹿にされるのではあるが。
「お前さんももう生まれて2年は経つんだろ?ならそろそろ新しいグルメを求めてもいいんじゃないか?
俺らは所詮、それくらいしか人生に娯楽はないんだからな。それに比べて人間は良い。どうやら光る板を無心に叩き続ける事が今の流行りだそうだ。」
「そんなもの、いつもどこで知るんだ。まあ、お前の話を疑う訳では無いし、いつも面白いと思っているが。」
「簡単な話だ。俺は実はお前には言わなかったが、少しだけ空を飛ぶことが出来る。それも何度もだ。その間に海外の情報を自分の目で確かめるてるのさ。」
「空?海外?お前は何の話をしているのだ?」
「分からなくても無理はないよ。俺もよく分からないんだが、人間が違う種の人間を区別する時に呼んでいたんだ。
よくよく観察してみたんだが、俺には人間の類の違いなんか分からなかったがな。」
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