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第10 堕天使VS堕娘
翌朝、雪が心配な俺は美由紀へと電話を掛けた。
「うん、そうなんだ」
「必ず、埋め合わせするからさ・・・」
「そこまで、怒る事は無いだろう」
「俺にとって、雪は大切な妹なんだ」
「シスコンじゃないよ・・・」
「待って、切らないで美由紀」
朝から騒がしい浩介の部屋、この会話を聞いていた2人の少女は、窓を超えた先とベッドの中に居た。
「雪、入るよ」
「兄さんん、朝から声が大きいわ」
「ごめんね、起こしちゃったかな」
「ううん、それは大丈夫よ」
浩介は、私の仮病の為に、大事な美由紀と喧嘩までして残ってくれたんだ。
「ごめんね、今日楽しみにしてたんでしょ」
「気にしないで良いんだよ」
何て優しい瞳をしてるんだろう、とてもモテナイ男には見えないな。
「昨夜考えて見たんだけどね、血は繋がってないし天使と言う魅力まである雪でも、妹として受け入れ、妹として好きになったから、どうしても超えられない壁が有るような気がするんだ」
はいーーーーーーーーー?
何で私が振られる設定になってるのよ、ムカつく天使を舐めてるわ。
「兄さん、分かってるわ」
頭にきた、この男絶対に一線を超えさせてやる!
「分かってくれて有難うね」
ええ、分かりましたよ、分かりましたとも、浩介絶対に惚れさせて、最後に私が大失恋という、絶望に落として上げるわ。
「お邪魔しまーす」
『真理がなぜ?』
私と浩介は、お互い不思議そうに顔を見合わせてた。
「雪が心配でお見舞いに来ちゃったんだけど・・・」
「真理、入って」
真理が一応、申し訳無さそうに入ってくる。
「雪、体は大丈夫?」
「大分良くなったわ、心配してくれて有難う」
「真理、雪の為に有難うね」
「気にしないで、大切な友達が心配になるのは、当たり前でしょ」
真理よはなぜそこで、モジモジと赤い顔をする? それに浩介と近すぎよ。
あ、でもこれはこれで良いのか?
「真理って優しいね」
浩介が真理に微笑みながら言った。
「そんな事無いわ、誰だってこうするはずよ」
やっぱ駄目だ、離れろ、離れろ真理。
「浩介は、今日予定有ったんじゃないの?」
「うん、雪が心配で断ったよ」
「そうなんだ、優しいお兄さんね、一人っ娘から見れば羨ましいわ」
まさか、浩介を狙って来たのか? ここは応援すれば一気に片付くんでは無いだろうか。
「真理、少し雪を眠らせて上げたいから、俺の部屋へ行こうか」
いい調子だ、がんばれ真理。
「そうね、そうしましょう」
これで決まりかな・・・
「まって兄さん! 雪は寂しいです!」
あああ、変なプライドが邪魔するよ~
「全く、しょうがない甘えん坊さんだなぁ」
ううう・・・
「真理来てくれて有難う、俺が付いてるから安心して、今日は戻ってくれるかな」
「はい、分かったわお大事にね」
ああ、またチャンスが去って行く。
そんな露骨に嫌な顔をしないでよ真理、恨むなら浩介よ浩介。
「有難う、真理」
真理は肩を落とし、雪の部屋から出て行くのであった。
「雪、安心して寝て良いよ」
私は浩介に布団を首の所まで引き上げられ、素直に目を瞑り眠りへと落ちて行った。
「雪、朝食だよ~」
「は~い」
「兄さん、昨日は有難う」
「気にしないで良いよ、それより早く元気になれて良かったね」
「うん」
『頂きます』
何だか色々後悔が残る週末だったな。
「ご馳走様」
浩介は何時も食べるの早いけど、ちゃんと噛んでるのだろうか。
「今日も、鞄にお弁当入れといてね」
「うん」
「さぁ、行こうか」
私は最後に鍵を閉めて、門を出た。
「真理、今日は早いんだね」
「ええ浩介、雪、お早う」
「お早う」
「お早う昨日は有難うね」
3人は学校へ向かって歩き出した。
「もうすぐ夏がやって来るな」
「浩介は夏が好きなの?」
んん?
「真理、俺はインドア愛好者だからね・・・間違っても好きって事は無いよ」
な・・・真理よ、なぜ浩介の制服の袖を握ってるの?
「そうなんだ、私もインドア派なんだよね」
浩介と真理の会話には全く関心が無い雪は、再び必要ないプライドを燃やしていた。
ムカつくわね、負けれない。
「でも兄さん、夏休みに少しは遊びに行きましょうね」
そう言いながら、雪は浩介に抱きつく。
元ボッチよこれでどうだ。
「雪、兄妹で腕を組むのは流石に恥ずかしいな」
「雪はこうしたいんです、仕方が無いでしょう」
ふふふ、勝ったな。
「雪はブラコンよね、早く浩介から独立した方が良いと思うわ」
ボッチが言うなー。
「浩介も、シスコンぽいよ」
浩介を馬鹿にするなー。
「そうかな、でもこれがうちら兄妹のスタイルだからさ」
うんうん。
「そうなんだ、美由紀に振られちゃっても知らないよ」
「雪、やっぱり腕を組むのはやめよう」
そんな、私がボッチに・・・負けるの?
「大体、浩介は雪に甘すぎよね、この先雪が困る事になると思うわ」
「ははは、そうだね気を付けないとね」
真理~、覚えておきないさいよ!
俺は教室に入ると脇目も振らず、自分の席いわゆる美由紀の元へ目指した。
「お早う美由紀」
「ふん」
やっぱり怒ってますよね。
「美由紀、お早う」
「お早う雪、まだ顔色悪いわね」
「うん、家を出るまでは調子良かったんだけどね」
「結構ひどかったの?」
「家は親が見てくれないから、兄さんが居てくれて助かったわ」
私は何で浩介を助けてるんだろう。
「それなら仕方が無いわね」
美由紀は納得した様な明るい表情で、浩介を見つめた。
「美由紀、ごめんね」
「ううん、私が言い過ぎちゃったわ、御免なさい」
「必ず埋め合わせするからさ」
「うん、期待してるね」
やっぱり助けるんじゃ無かった・・・爆発すれば良いのに。
「健太、お早う」
「お早う雪、元気になって良かったね」
「心配掛けてごめんね」
健太は相変わらず動く気配が無いし、私と浩介はどうなって行くのだろう。
そうだ、その前にリア充を壊さねば行けないんだった・・・
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