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第11 リア充を楽しみたい
俺と雪は朝鍵を閉め門を出る。
「お早う、浩介、雪」
「お早う、真理」
「お早う、真理」
3人揃って学校へ向うのは当然の事だったのだが、最近は少し様子が変わってきてる。
何故か真理は俺の制服左袖を、雪は右袖を離さないで居るのだ。
更に隙を見てさり気なく、胸を当てたりしてくる。
それはそれでご馳走様なのだが、リア充なれしてない俺は、周りの視線を痛く感じる。
そもそも基本的に、これは隣人と妹であって、俺の望むリア充ではないのだ。
はぁ・・・美由紀とゆっくり時間を楽しみたい。
「お早う、美由紀」
今日も綺麗な美由紀様、笑顔が眩しいです。
「お早う」
今日こそ何とか時間を作ろう。
うーん・・・大体雪は何をしたいんだろうか、俺と真理を結び付けたいのでは無かったのか?
考え込んでる俺の視野に、また消しゴムが転がってくる。
俺は真理と見つめ合う、どうやら取る気がないらしい。
仕方がない、俺のほうが近いのだから・・・
ゴツン!
「痛い」
「痛っ」
「浩介、ごめんね」
真理よわざとでは無いのか、悪意を感じる。
「浩介大丈夫?」
美由紀が優しく心配してくれる。
「大丈夫」
「ねぇ、月曜日から期末試験だし勉強しない?」
それだ!
「そうだね、放課後図書室で勉強して行こう」
「うん」
そう言った彼女の笑顔は、ここ数日では1番輝いていた。
美由紀様は、そんなに嬉しいんですね、俺は幸せです。
放課後、急かすように俺の前に立ちはだかる、雪と真理。
「雪に真理、今日は2人で帰ってくれるかな?」
「兄さん、どうしたの?」
「雪、図書室で勉強して帰るから、浩介を貸してね」
「それなら、私も勉強をしたいです」
おいおい空気を読もうよ、マイシスター
俺は美由紀と見つめ合う、仕方無さそうに頷く美由紀。
「雪は、しょうがないなぁ」
美由紀の笑顔が、引き攣ってる気がするのは気の所為では無いよな。
俺達3人は図書室へ入って行ったのだが、だが。
なぜ真理が居る?
しかも俺の横、そこは美由紀の指定席なはず。
正面に居る、美由紀とその横の雪までもが、これには呆気に取られている様だ。
「真理も勉強するのか?」
「うんうん」
なぜ俺の周りは、空気の読めないやつばかりなんだ!
ハァ、しょうがない横は無視だ。
「始めようか」
「そ、そうね」
「浩介、この方式って何処から解くの?」
「ああ、それはね・・・」
「成程ね、有難う」
美由紀様は、ノートへ向う。
俺も自分のノートに目を落とすんだが、左ページが消しゴムのカスで、大変な事になってる。
これは流石に言わないと駄目だろう。
「真理」
「ちょっと待ってね」
ああ、消しゴムですね、そして今日は・・・ねずみさんですか。
絶対にわざとだろう、わざとだよな?
「何? 浩介」
「嫌、良いんだ」
「真理、浩介のノートが酷い事に成ってるよ」
有難う、美由紀様。
「ごめんなさい、直ぐに綺麗にするわ」
「ああ、うん」
「ふぅー ふぅー ふぅー」
おいおい、唾飛んでるよ、本当に悪意しか感じなく成って来た。
しかし、これが素の駄娘だったら、この先の危険度が雪以上に成る可能性も、考えとかないと行けないかもな。
「はい、綺麗になったわ」
「ははは、有難う」
俺がお礼を言うと、正面からため息が聞こえて来たのだった。
「美由紀、気を取り直して頑張ろう」
「そうね」
ガチャーン!
雪?
「皆様、すみません」
あいつもわざとかーーーーーー!
「浩介、今日は止めとこうか」
「分かった」
怒ってらっしゃいますよね、絶対に怒ってますよね。
「それじゃ、先に帰るね」
「うん、また明日ね」
「雪、真理!」
こいつら目を合わせようともしない。
「兄さん済ません、雪がお邪魔をしてしまった様で、ウゥゥ」
「雪・・・そんな泣くような程の事では無いよ」
「兄さん」
「ああ、しょうがない帰ろう」
「真理も無理に泣こうと頑張らなくて良いから」
「はい」
あぁ、リア充を楽しみたい。
どうやって美由紀の機嫌を直そう・・・
「お邪魔しま~す」
「早いね」
「うん」
真理よ、そんな笑顔で返事されても、響くものが無いんですが。
「あら、真理来てたのね」
「今来た所よ」
「そう、兄さん少し詰めてくれますか?」
「良いけど、ここ2人用のソファーだよ」
「知ってますけど、そこが一番テレビ見やすいから」
「どうぞ」
「有難う」
狭い、狭すぎる。
「俺、隣に移るから、2人共手を離してくれるかな?」
「・・・」
「・・・」
無視か、こいつらどれだけ自己中なんだよ。
う~ん、雪より真理の方が少し大きいのかな?
ちがーーーーーーーう、俺には美由紀様が居いるではないか。
早いけど食事を作ろう。
「夕食作ろうかな」
2人共、胃袋には正直なんですね。
俺は台所へ行き夕食を作り始めた、勿論今後の対策を模索しながらである。
「兄さん、お風呂空きました」
「ありがとう~」
今日は疲れたしゆっくり浸かろう。
な!
ピンク! 動物さんじゃないのか、どっちの物なんだろう雪か真理か?
随分とセクシーな感じの物だ、詳しくないが大人の女性はこう言うのを履くのだろう。
駄目だ、関わればきっとロクな事が無い。
着替えは床に置こう、無視だ無視。
「兄さん・・・」
来た!
「どうしたの?」
「今部屋で洗濯物を分けてたら、下着が無くて」
「雪のだったんだね、俺の服を乗せたら悪いと思って、そのまま置いてあるよ」
雪はあんなセクシーなのを履いてるのか。
「どうでした?」
「何がかな?」
「ですから、私の下着を見てどうでしたか?」
素敵だよ、出来る事ならお持ち帰りしても良い位です。
「雪には似合う色だと思うよ」
「それだけですか?」
「それだけです」
危な過ぎる、何が起こるか分からない、雪は意図的に置いていったんでは無いだろうか?。
俺と美由紀のリア充生活が、2人の堕系女子に潰されて行く・・・
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