第12 修羅場な週末 前

1/1
前へ
/13ページ
次へ

第12 修羅場な週末 前

良し、今日は徹夜だ。 俺は愛する彼女の苦手な、数学と理科の試験範囲を分かりやすくノートに纏めて行った。 必死に取り組み朝を迎えた。 雪が扉の外から声を掛けながら、中へ入ってくる。 「兄さん、お早う」 「お早う」 「兄さん、顔色良くないけど、夜更しでもしたの?」 はぁ、雪よお前のせいなんだよ・・・ 「うん、少し試験勉強をね」 「そうですか」 「所で、雪はテスト大丈夫なの?」 「・・・」 「頑張らないと留年しちゃうよ?」 「はい」 「今日と明日で、少しでも勉強をしようね」 「兄さん、有難う」 可愛い妹の為だ、仕方無いだろう。 俺は身支度を整え朝食を作った。 「出来たよ」 『頂きます』 教室へ入ると、意図的に机を離してる美由紀の横へ座る。 「お早う、美由紀」 「ふん」 やっぱり怒ってるんですね。 「美由紀、これ使ってくれるかな?」 「ノート?」 「美由紀の苦手な、数学と理科を纏めて来たんだけど・・・」 「私の為に?」 「うん、美由紀の為にさ、是非使って欲しくてね」 「浩介、有難う」 どうやら、ご機嫌に成ってくれたみたいだ、リア充ってこんなにも大変な物なのか・・・ 「浩介、今日は勉強出来る?」 「今日?」 「うん」 雪の動きが止まってる、聞こえてるのか。 「雪」 「ゆき~」 こいつ、無視してやがる。 「そうだね、一緒に勉強しようか」 「兄さん、今日は雪に勉強を教えてくれるって・・・」 おいーーー ! 「そうなの?」 「うん、雪に教えるのは夜だから大丈夫だよ」 「良かった~」 俺も良かったです。 「美由紀、折角だから、私達の家で勉強しない?」 しない、しない。 「そうね、浩介の部屋見てみたかったし、良いかもね」 あああ、嫌な予感しかしない・・・ 絶対に何か企んでるだろう、それにお隣さんが、乱入してくるに決まってる。 「最近、部屋汚いからなぁ」 「兄さんの部屋は綺麗だと思う」 うるさーーーい。 「もしかして、迷惑なの?」 いや逆です、絶対に駄女神と駄娘が迷惑掛けますから。 「そんな事無いけど、突然だと恥ずかしくってさ」 「大丈夫よ、Hな本とか探したりしないから」 無いです、無いですよ。 「美由紀、兄さんの部屋には無いから大丈夫よ」 雪よ、何でしってるんだ。 「それじゃ、家で勉強しよう」 「うん」 疲れる・・・ 問題は帰りだな、俺が先に美由紀と手を繋がないと駄目か。 どうせ空気など読んでくれないだろうし。 後、席は真理の右側を雪にして、消しゴムのカスを任せればいいか。 うん、行けそうだ。 帰り送れば2人きりになれるし。 完璧だ! 「美由紀、手を繋いで行こう」 「うん」 恥ずかしそうにする美由紀様、可愛いです。 「やっぱ、理科と数学にする?」 「そうね、英語は私が教えてあげるね」 「有難う」 よし! 雪と真理、2人の事は無視だ。 「皆、後でね」 真理が笑顔で自宅へ入って行く。 「うん」 「後でね」 「急がなくて良いからね~」 俺は思わず、本音が出てしまった。 「どうぞ、上がって」 「ジュースで良いかな?」 「有難う、気を使わないでも大丈夫だからね」 ああ、これが普通の反応ですよね。 「ここが俺の部屋だから、どうぞ」 「男子の部屋って初めてだけど、綺麗ね」 「そうかなぁ、でも有難う」 「美由紀はここに座って」 「うん」 「兄さん、美由紀お待たせ」 な! 「雪、何時も家ではそんな恰好なの?」 「うん、動きやすいしね」 嘘だ、またこいつはーーー 「それにしたって、ロングTシャツ1枚って・・・」 美由紀様が、不思議そうに首を傾げてる、当然ですよね。 「雪、俺の隣に座ると良いよ」 「はい」 もう、危険過ぎる、何が起こるか想像も出来ない。 「お邪魔しまーす」 うう、ドキドキしてきた、真理も異常な格好だったらどうしようか? 「お待たせしました」 はぁ、普通・・・助かった。 「揃ったし始めよう、飲み物は各自で入れてね」 「美由紀、数学からやろうか」 「うん、有難う」 「良いんだよ、昨日出来なかった分、頑張ろう」 ここまでは予定通りだ、後は集中するだけ。 「この数式は、ここから解いて行くんだよ」 「浩介は頭良いよね」 「普通だと思うよ」 オマケはいる物の、俺は今リア充を満喫してるんだ。 ペキッ! 「痛っ」 「浩介、ごめん」 ペキッ! 「あ」 真理、お前はスナイパーか、良くシャーペンの芯を確実に当ててくるな。 「雪、何してるの?」 何で俺の枕を抱えてるんだよ。 「兄さんの、香り充電」 「雪は、何時もそんな事してるの?」 「うんうん」 もう、いやだーーーー 「浩介?」 「知らない、知らない」 「やっぱり私帰るわ」 「待った、美由紀落ち着いて、雪の冗談だからお願い・・・ね」 「そうね、私も興奮しすぎたわ、御免なさい」 こいつらーー  「あ~ 今日のご飯どうしようかな?」 「・・・」 「・・・」 これで大丈夫だろう。 「ふぅ、結構遅くなっちゃったね、送って行くよ」 「兄さん、お夕食は?」 「雪、すぐ帰ってくるから待っててね」 自己中すぎる。 「美由紀泊まって行っちゃえば? 明日も勉強出来るよ?」 「う~ん、そうね雪ともゆっくり話したかったしね」 即決ってやばい、やばいよ何を言われるか分からない。 「美由紀、両親には怒られない?」 「メールしとくわ」 「パジャマ取ってくるわ」 え? あ、行っちゃった・・・真希も泊まるのか・・・ 「夕食作るね」 「浩介、一緒に作ろう」 はぅ、優しい、俺の彼女さん優しいです。 「うん、有難う」 「雪、真理、テレビ観てて良いんだよ?」 というか、お前ら何時も出来るまで来ないだろ。 「兄さん、気にしないで」 「美由紀ごめんね、親が居ないから甘えん坊なんだよね」 「仕方無いと思うわ」 「ええ、良く雪ちゃんは、ブラザーコンプレックスねって言われるわ」 おいーーーーー 「雪、流石にそれは治した方が良いわ」 ですよねーーー 「兄さんが、シスターコンプレックスを止めてくれれば良いんだけど・・・」 「雪、少し冗談が過ぎると思うよ? ご飯抜きにしちゃうよ」 「御免なさい・・・」 「ふふふ、雪って可愛いわよね」 何いってるんですか? 雪の薄ら笑いはなんでしょうか? 『頂きます』 うん、今までの人生で一番美味しいカレーだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加