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第03 お互いの思惑
俺は雪を問い詰めた。
「それで、君は誰なの?」
雪は全部を話した。
「う~ん、嫌だ・・・」
「何でよ~、彼女が出来るんだよリア充街道まっしぐらよ、何でも協力するからお願い」
雪は床に座って土下座に近い状態だった。
「それだったら、美由紀が良い」
俺は正直に言った。
「それじゃ駄目なの、私帰れないのよ」
泣きそうな勢いだ。
「嫌だ」
「今朝までの優しさは、何処に行っちゃったのよ~」
遂に泣き出してしまった。
「う~ん、あの天然さんかぁ・・・」
流石に気の毒に思える、雪を見ると俺の顔を伺っており、目が合った瞬間に泣き始める。
「やっぱ、美由紀が良い」
「どうしてよ~」
「だってクマさんパンツだし、ドジッ娘何だもん」
「私、帰れないじゃない」
「雪、内緒にしておいてあげるから、仲の良い兄妹で居ようね」
「嫌よ」
俺は切りがないので、ここで話しを終わらせる事にした。
「では宿題をするんで、ああ確認忘れてた天使ってお腹すくの?」
「空くわよ」
「そっか、今日からご飯係お願いして良い?」
「そんなのやった事無いわ」
「使えないな」
「しょうがないでしょう、甘やかされて育ったんだから!」
「そこ、自慢する所じゃない」
呆れた所で机に向かって、宿題を始めた。
「馬鹿、浩介」
私は罵声を残して、自分の部屋へ帰った。
こうなったら自力で何とかするしか無いわ、何も浩介からじゃなくても良いのよね。
真理をその気にさせれば良いんだわ!
夕飯を作っていると、雪が不機嫌そうな顔で降りて来る。
「ふぅ、出来た」
俺と雪はテーブルに座り、食事を始める。
「私の分は?」
「無いよ」
「何でよ~」
「兄に向かって馬鹿とか言う妹に、作る訳無いでしょ」
「うう~」
「御免なさいをしたら考えて上げるけど・・・」
雪は俯き、モジモジしながら小さな声で、御免なさいと言った。
やばーーーーい、可愛すぎる! 正しく天使だ、正確には堕天使か?
イヤイヤ駄目だ、萌えては雪のペースに成ってしまう。
俺は雪の為に作っといた分を出して上げた。
「はい、どうぞ」
「頂きます」
と素直に雪は言った。
私はベッドの中で名案を浮かべていた。
糸は繋がっているのだから、真理から接近させれば良いのよ。
早速、明日から作戦開始だわ。
これなら行ける!
嗚呼、女神様、後数日で帰りますからね。
翌朝、雪は制服に着替え下へ降りて行った。
「兄さん、お早う」
「お早う、今日はちゃんと起きて来たんだね」
「はい」
雪は俺に微笑みながら言った、今日も可愛い!
朝一の元気頂きました、ご馳走様です・・・でも俺は気を許さない!
「さぁ、朝食にしよう」
「は~い」
『頂きます』
う~ん、最悪雪を健太に任せてしまえば良いか。
それで俺が美由紀と一緒に成れば、ベストだな。
「そうだ、今度の日曜日は俺居ないから、母さんが起きてこなかったら、パン有るからね」
「後、一応真理との事は考慮するから時間くれるかな?」
「本当?」
「ああ、雪も可愛いし可哀想って気持ちあるからさ」
「有難う御座います」
雪は嬉しそうにしてる・・・
チョロイ、これで時間を稼いで、その間に美由紀と一緒に成ってしまえば良いんだ。
「ご馳走様でした」
「雪、俺の鞄にもお弁当入れといてね」
「は~い」
ふふふ、やっぱ人間は単純ね、素直なふりして裏では、真理とくっつける作戦を進めてるなんて絶対に気が付か無いわ。
やっぱ私は天才天使だわ!
「さぁ、行こうか」
「はい、兄さん」
俺と雪は学校へ歩き始めた。
「兄さん、ちょっと待ってね」
ピンポーン!
「はい」
「あ、真理さんね雪です、一緒に学校行きましょう」
「な!」
何余計な事をしてるんだ。
「雪、支度出来て無かったら、失礼じゃないか?」
「お待たせしました、雪さん、誘ってくれて嬉しいわ」
「いえいえ、お隣さん同士ですしお友達なのですから」
雪は満面の笑顔で、真理を迎えている。
「有難う雪さん、浩介さんもね」
「いえいえ、雪の言う通りですから・・・」
「真理さん、友達なんですから、私は雪、兄さんは浩介で良いわ」
こいつ! 勝手に・・・。
「それなら私の事は真理って呼んでね」
「はい」
「兄さん良かったですね?」
「うん、そうだね」
力技で来やがった。
「お早う、今日は仲良く3人で登校かよ」
通学途中で健太が話し掛けてくる。
「ええ、お隣通しですからね」
「そうなんだ、何か羨ましいなぁ」
それから4人で話しながら学校に付いた。
教室へ入り席に着くと、まずは大好きな娘に声を掛ける。
「美由紀、お早う」
「お早う」
美由紀が微笑む・・・可愛い!
彼女じゃ無くても良いから、妹交換とか出来ないかな、堕天使でも天使だ帰ったら聞いてみるか。
「浩介、日曜日何処行く?」
「む!」
雪が振り向く、俺は断固と美由紀から目を離さない様にする。
「そうだね、行きたい所は無いの?」
「私が決めて良いなら、八景島行きたいな」
「八景島良いね」
「有難う」
美由紀が俺の手を取って喜ぶ。
「相変わらず仲が良いな、それで付き合って無いって可怪しいよな」
健太よ元々は君の彼女さんなんですが・・・めっちゃ雪が健太を睨んでる。
ん? 何で美由紀は恥ずかしそうにモジモジしてるんだ?
「浩介と美由紀さんは、そんなに仲が良いんですか?」
真理が入って来る。
「真理さん、美由紀で良いわ、私も真理って呼ぶから」
「俺も健太で良いよ」
「皆様、有難う御座います」
「そうだ此の2人は、しょっちゅう遊びに行ったり、買い物に行ったりしてるからな」
「へぇ~ そうなんですね、付き合って無いのが不思議ですね」
そういう設定なのか、健太ナイスフォローだ。
「でも、私から言うのは・・・」
美由紀様、お任せ下さい設定で決まってるなら怖い事は無い。
「日曜日、楽しくしようね」
「うん」
美由紀は喜びながら言った。
行ける、これは行けるーーーーーーーー
「そうだ、お二人でも良いと思うんですが、真理もお誘いして皆で行きませんか?」
「雪、無理言っちゃ駄目だよ、健太は部活だし、真理だって明後日は急じゃないかな?」
「ああ、部活なんて休んでも平気だよ」
健太、性格変わってるーーー、俺は悲しいよ。
「美由紀、どう?」
「良いと思うわ、2人では何時でも行けるしね」
「真理、用事とかは?」
「特に無いし、健太さんとかもっと仲良く成ってみたいし」
あれ? 可怪しいわ、私は確かに2人の糸は結んだはず、なぜ真理が浩介に行かないんだろう?
雪は疑問に思っていた、当たり前である、浩介の部屋にドロップする前に結び忘れてたのだから。
繋がったのは金の糸と浩介の赤い糸だけなので有る。
特に金の糸の威力は強烈だ。
天使は知らずの内に力を失いながら、結ばれた相手を好きに成って行く。
「それじゃぁ決まりね、駅に9時待ち合わせで行きましょう」
美由紀が仕切ると、皆納得した。
どうしてこうなるんだーーーーー 俺は雪は睨んだ。
どうしてこうなるのよーーーーー 私は浩介を睨んだ。
「ははは、雪授業始まるよ」
「ふふふ 兄さん有難う」
せっかくのチャンスを堕天使めが・・・
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