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第07 消しゴムの謎
今日も3人で学校へ向かった。
居室に着き席に座ると、風に乗って好きな匂いが運ばれて来た。
「美由紀、おはよう」
「おはよう~」
「美由紀は今日も可愛いね」
「朝一から何言ってるのよ」
と言いながらも、美由紀の顔はほんのり赤く笑顔だった。
今日の美由紀も本当に可愛いです!
「ねぇ 日曜に日映画行かない?」
「良いよ」
「やった」
美由紀が嬉しそうにアクションをする、俺の好きな匂いが再び風に乗りやって来た。
放課後、俺達3人は家に着いた。
「真理、一度家に帰らないで良いの?」
「うん、誰も居ないし」
雪が鍵を開け、先に入って行く。
「お邪魔します」
もう既に躊躇いは無い様だ、我が家のように俺の部屋へ向かって行く。
「雪よ俺の鞄持って上がってくれるかな、飲み物持って行くから」
「は~い」
俺は麦茶を3杯用意して、自分の部屋へ入った。
雪は私服に着替えた様だ、春らしい薄い緑色のワンピースだ可愛いぞ妹よ。
「どうぞ」
「有り難う」
「兄さん、有り難う」
俺は雪の正面に座り、左側に真理が座っている。
今日の宿題は数学だけだ15分も有れば終わるだろう、楽勝に耐えれる時間だ。
んんん?
俺は宿題を半分やった所で異変に気がついた。
ノートの左ページにかなり多い、消しゴムのカスが溜まっていたのだ。
真理の方を見るとまだ4問目で暫く見てると、少しでも字が汚いと消して書き直してる、几帳面なのだろうか・・・しかし消したカスを大雑把に片手で払い除けていく、ガサツなのだろうか・・・
消しゴムが真理の手から飛び出し転がってきた、俺は一つの謎が解けた様な気がした。
因みにこれは拾っては行けない物だ!
俺は真理を見つめる、真理も俺を見つめてる。
俺は取る意志が無い事を現すために宿題へ戻った、掃除大変そうだなと思いながら。
「真理!」
「突然、雪が驚いた様な声を出す」
俺はノートから顔を上げると、四つん這いで消しゴムを取ってる真理と、そのせいでスカートの中が丸見えに成って、中を覗いてる雪が視界に入った。
「何?」
と言いながら真理は正座に戻る。
「貴方16に成っても、たぬきさんパンツ履いてるの?」
おいおい、そういう事は言わないで上げた方が良いぞと、俺は心で思う。
「だって、可愛いから」
人にはそれぞれ好みが有る物だ。
「え~ 男の人から見たら引くわよ・・・ねぇ兄さん」
雪よなぜ、俺を巻き込むんだ。
真理と雪が俺をマジマジと見つめている。
「たぬきさん可愛くて良いじゃないか、本人が気に入ってるんだからさ、自由だと思うよ」
「でも!兄さんは前、クマさんは嫌みたいな事言ってましたよね」
雪が乗り出して来る。
「浩介は、クマさんよりたぬきさんが好きなんですか、ふん」
真理が興奮気味に、雪に習って乗り出して来る。
「ちょっと待って、その話は宿題を終わらせてからにしよう」
取り敢えず2人を落ち着かせた・・・ウザすぎる。
「ふぅ、終わった」
あれから10分位かけて終わらせた、雪を見ると・・・まだ2問目、真理は5問目で消しゴムのカスは倍に成ってる、ここ俺の部屋なんだよな。
「さて、夕飯の支度するから頑張ってね」
「は~い」
「はい」
「そうだ! 真理ちょっと来て」
「何ですか?」
「この窓から真理の部屋が見えるでしょ、よーく覚えておいてね、ここから見える範囲では着替えとかしない様にね」
「分かりました」
「有り難う」
と言って俺は下に降りた、封印してた窓も今日から開けられそうだ。
冷蔵庫から食材を出し、作り始める事5分、2人が降りて来た。
「飲み物のお代わり?」
「ううん、やっと宿題が終わったからテレビ見ようと思って」
こいつらーーーーーー 俺のを写したなぁ
「雪、真理、勉強は自力で頑張らないと行けないよ」
「頑張ったよね、真理」
「は、は、はい頑張りました」
明らかに挙動不審だ。
「まぁ、いいや直ぐ作るから待っててね」
う~ん、真理も可愛いんだけどな、なぜかイマイチ拒否する反応が出て来てしまう。
「出来たよ~」
『頂きます』
「今日も美味しいです」
真理が満面な笑顔を見せてくれる。
「真理、兄さんのお嫁さんに成れば、朝食も付いて来るよ」
「雪は今サラッと可怪しい事を言い切っただろ、それに本来はお嫁さんが作る物なんだよ」
「兄さんは優しいから作って上げるのかなと思ったのよ」
雪が可愛いから文句も言わず作ってるんだよと、言いたいのを堪えた。
「つ、作ってくれるんですか?」
かなり勇気を出して言ったんだろう、額に汗を嗅いている。
「作りませんよ」
急に落ち込む真理、ここで情けを掛けては行けない。
「ご馳走様でした」
俺は食器を洗い始める、空いたお皿から荒い全部終わったら、食後のアイスコーヒーを持ってリビングへ向う。
「頂きます」
「兄さん、有り難う」
1時間経って、真理は何時まで居るんだろうと俺は思い始める。
2時間経って、雪がお風呂に入ると言って、やっと帰る気に成った真理。
「真理も入って行けば?」
雪・・・何を言い出すんだい?
「今日は帰るわ」
「それじゃ、また明日ね」
「おやすみ~」
「またね~」
ご丁寧に、鍵を閉めて帰ってくれる真理。
「ふぅ、疲れる」
「もう少しだったかな」
後ろで雪が言う、振り向いて睨むと。
「兄さんも考慮してくれるって言ったから、頑張ってるんだよ」
甘えた声で言ってくる。
「そうだったね、早くお風呂で疲れを取っておいでよ」
駄目だなぜ雪に惑わされるんだろう、美由紀という愛しい彼女さんが居るのに。
俺は部屋に入って思い出した、掃除しないといけなかったんだ・・・
ああ~~ 最近疲れてるな。
何とかならない物だろうか、雪が天使を諦めてくれれば良いんだけどな。
それは無理か、俺も人間諦めろと言われても断るだろうしな。
自業自得とはいえ、気の毒ではあるとも思う。
しかし、自分のリア充は手放したくない。
俺は風呂を上がり、封印してた窓を開けた。
「今夜はパンダさんか・・・」
そっと窓を閉めた俺だった。
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