白黒狐百怪談

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白黒狐百怪談 「こんな噂…知ってる…?」 どこからか語りかけられる声。 「学校裏の狐様…なんでも願いを叶えてくれる代償にあなたのものを何か一つ取られてしまう…」 「きゃああああああ!!!!」 突然、三階の女子トイレから女の子の悲鳴が聞こえた。 緊急時であろうと思い、男子だが叶斗は女子トイレに入った。   「大丈夫ですかっ!!?」 そこには顔面蒼白の首元から血を流した女の子が倒れていた。   それと、白い着物を着ているおかっぱの青白い肌をした女の子が立っていた。 「キキキッ」 おかっぱの女の子は不気味に笑った。 叶斗は噂で聞いた学校裏の祠へと向かった。 狐様の噂… 「僕は一年二組の矢代叶斗です。狐様狐様どうか願いをお叶え下さい。」 叶斗は噂で聞いた通り、狐様を呼び出した。 そこで叶斗の意識は途切れた。 「あ…れ?ここはどこだ?」 気がついたら都市中の中学とはかけ離れた大自然の中にいた。 そして目の前には大きな鳥居と、その元に狐の像が。  そうだ。学校に吸血鬼の花子さんがでたんだ。それで噂の狐様の所に…  「お待ちしておりました叶斗様。さあどうぞこちらへ…」 どこから現れたのか、10歳くらいの灯りを持った男の子がそこにいた。 しかも獣の様な耳としっぽがはえている。 …狐か…? あれ?て言うか僕、名乗った記憶がない…? 「叶斗様のお名前は、祠の前でお聞きしてますよ私は案内人のソラです。」 僕の心読んだ!? 「狐の一族は皆、千里眼の妖力がありますから。何を隠そうともすぐわかりますよ。」 「あ…そうなんですね…」 「ですから、あなたが今日ここに来た理由もわかりますよ。  三階女子トイレの花子さん…ですよね?」 その通りだ。 「そっそうなんです!女の子が倒れていて…!」 「お急ぎになる気持ちも分かりますが、私は妖怪を祓うまでの妖力はございません。なので、今からご案内するシロ様とクロ様のところでお話をお聞かせください。」 男の子はそういうと、鳥居の階段を歩き始めた。ふと、横を見ると狐の像が無くなっていた。 …? 「こちらです。」 男の子がそう言ったところを見ると、大きな御神木があった。 「シロ様、クロ様、お客様がお見えです。」 男の子がそう言うと、またしてもどこから現れたのか、黒髪の男の子と白髪の女の子が現れた。その2人にも狐の耳としっぽがあった。 「おぉおぉ!6年ぶりのお客様かぁ!いやぁ久し振りだなぁ!シロ!」 黒髪の男の子がそう言うと白髪の女の子は不機嫌そうな表情でこちらを見た。 「客が久々なのはいいけどよ、」 …ん?男の子の声? 「お前、俺様の事女だと思ってんだろうけどよ、普通に男だから。 今度女だとか思ったら永久にここから出られなくすんぞ。千里眼でお前の心読めるからな」 シロはそう言うと、手から白い火の球を出した。 どうやらあれで僕を◯すつもりの様だ。 怖… 「まぁまぁ!そんなことより、なんかあったんだろ?叶斗!」 クロに聞かれて叶斗ははっとした。 「あっそうだ!トイレで女の子が倒れていて」 「それはどこのトイレだ?」 クロは急に真面目な顔になった。 「さっ三階です!」 僕がそう言うと、 「じゃあソイツは花子だなぁ?シロ?」 クロさんがシロさんに問うと、 「いや、さっきソラがそう言ってたでしょ?」 「あれぇ?そうだっけねぇ〜?」 「とりあえずクロ、祓いに行くよ」 シロがそう言うと、周りに人魂がたくさん現れた。 そして次の瞬間、シロとクロと僕は学校前の祠に立っていた。 「えっ!?」 そして、花子さんが出たトイレに僕が二人を案内した。 「こ、ここです…」 「おぉ!そうか!案内ご苦労!」 クロさんがそう言った次の瞬間、僕は縄でぐるぐる巻きにされていた。 「え?」 「じゃあ次は囮りになってこーい!」 クロさんはそう言い、ぐるぐる巻きにした僕を棒で吊り下げながらトイレに入っていった。 「いやいやいやいや?!?!?」 困惑している僕にシロさんが聞いてきた。 「…あれ?君、噂、最後まで聞かなかったの?願いを叶える代償にあなたのものを一つ取られてしまうって。」 「え!?!?それって命のことなの?!?!嘘でしょ?!?!」 叶斗が騒いでいると(またしても)クロが急に真面目な顔つきになった。 「シッ二人とも、静かに。」 「ケケケケケッ」 「あ、あの声…」 「あぁ。」 奥から、またあの白い着物を着たおかっぱの女の子、花子さんが出てきた。 「何だ。あんなのが血を吸っていたのか?案外弱そうだな。」 シロが安堵の息をついたのも束の間。何か白いものが花子さんの方から伸びて来た。 「がっ?!」 シロが悲鳴をあげた。  何事かと思い見ると、花子さんの口から何本もの白い手が伸びていて、その手のひらには牙が生えた口がついていた。  「いやぁ手強いなぁ」 クロはやはり悠長な態度であった。 「クロさん!死ぬよ!?僕とシロさんが死ぬよ!?!?」 「でーじょうぶでーじょうぶ」 クロはそう言い、吊り下げていた叶斗を放り投げ、手を前に突き出し、何かぼそぼそと唱えた。すると、クロの手の前に穴が現れ、そこから大きな白い狐が出てきた。 「白銀、やれ。」 クロがそう言うと、白銀、と呼ばれる狐は花子さんの頭に噛み付き、そのまま頭を飲み込んでしまった。 「ひえぇ…」 僕が恐ろしがっていると、クロは花子さんの胴体に手をかざし、 「怨。」 と一言唱えた。すると花子さんの胴体は消え、クロの頬に『花』と一瞬だけ光の文字で刻まれた。 「シロさんは大丈夫なんですか…?」 と、僕が聞くとシロさんが顳顬に青筋を立ててキレていた。 「俺様がこの程度で死ぬと思ってんのか◯ すぞ?!?!」 …うん。大丈夫みたいですね。ハハハ。 「シロは血、吸われても大丈夫なような体質だしな。」 「そもそも血ぃ流れてねぇしなぁ!!」 そう言うシロの首を見ると…本当だ。血が滴れてないし、赤くもなっていない。 「多量の紅がなくなると俺ら妖狐は死ぬからな。血を凝固させて闘ってんだよ。」 クロがそう解説した。 「なぁ、そろそろ代償貰わね?」 と、シロが言った。 「えっ」 「じゃあ〜代償に〜」 シロがそう言い、目の前に手を突き出した。  あぁ。死ぬのか。まぁ、いいか。悪い妖怪はいなくなったしね。 トイレの床に大きな穴が空いた。  さよなら。皆さん。僕は最初で最後の登場になりました。  するとその穴からうちの冷蔵庫が現れた。 「へ?」 僕がぽかんとしていると、 「これ、お前ん家の冷蔵庫?」 と、クロさんが聞いた。 「ハイソウデス」 僕はもう何がなんだか分からなくなってきた。 「あっぶらあっげ〜あっぶらあっげ〜♪」 シロはそう歌いながら冷蔵庫を開けた。 「ん?!ん?!ちょっっっっ?!?!」 僕が混乱していると、クロさんは 「ん?お前の命は取らねえよ?人間不味いし。」 「ソウナンデスネ」 なんか、うれしいけどなんか酷い事言われた気がする…まぁいいよね…? 第一尾〜トイレの花子さん〜   完。
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