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その日だけではなく、リハビリが終わる時間が分かっているかの様に、毎日烏は私の前に現れた。
会話をする訳でもなく、お互いをジッと見ているだけ。
そんな日々の中で『烏』と言葉にしてみた。
烏は、一瞬、僅かに目を細めた。
普通の人なら、分からないくらいの変化。
「悪くねぇ」
そう言い残し、踵を返した烏は、廊下を歩いて行く。
後ろ姿は何処までも漆黒。
誰なのか……分からない。
誰なのか……知らない。
だからと言って、名前を聞こうとも思わない。
なのに分かる。
烏は私と同じ人種なのだと……
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