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きじまさんの正体
「これからは定期的に病院に来る様に。予約も入れておく。それと心療内科にもキチンと通う様にした方が良い」
担当医の矢形が言った言葉に返事はしなかった。
心療内科の医師に【感情鈍麻、または感情平板化】と診断されたのは事実だけど、私は何も思わない。
だから、この先、心療内科に通う気持ちはない。
「明日、10時にきじまさんの家の人が迎えに来るから、それまで病室で待っていると良い」
担当医の矢形は、そう言った後、病室から出て行った。
正直『きじま』と言う人が誰なのか分からないけど、帰る場所がない私は待つしかない。
それに、これから先の事に対して、不安な気持ちが私の中に1ミリもない。
仮に迎えが来なかったら、私の足が動く方へと足を運ぶだけだ。
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