きじまさんの正体

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まさか……? ……そんな訳がない。 着ている物を脱ぎ、黒色のワンピースに着替え、洗面台の所にある鏡を見た。 鏡に映った私は、全身、黒。 それが、妙に落ち着く。 私は好んで黒を着ていたと何故か思った。 "逃げろ" 鏡に映るもう1人の私が言った言葉に『何処に?』と問い掛けた時には、自分の意思とは関係なく身体が動き、ドアをスライドさせて開けていた。 病室から廊下に出た私は、ナースステーションがある場所とは反対側へと歩いている。 そちら側に非常口がある事は、リハビリと病室を往復する時に知った。 緑色の非常口と書いてあるパネルの下にあるドアが開いたままの非常階段の踊り場に出てから下へ下へと下りる。 何処に向かう……? 心の中でそう問い掛けると、もう1人の私が答えた。 "病院から出る事だけを考えろ" 頭の中にある脳が動いて行動しているのではなく、心と身体が勝手に動いていると言う感じ。
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