きじまさんの正体

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何も思い出せないのに、何故、私は走っているのだろう……? 疑問に思った時、黒いフルスモークのベンツが私の行く手を遮る様に、目の前に停まった。 踵を返し走り出そうとした時、聞こえてきたのは、私の名前を呼ぶ低音ボイス。 「玲」 その声に反応した様に振り返ると、視線の先フルスモークの黒のベンツから、降りて来る烏の姿があった。 『烏』と言葉にした私は、ただ烏だけを見ていた。 烏はコツコツと足音を立て、私の方へと近づいて来る。 どうして、烏が此処に……? 何故私が居る場所が分かったの……? まさか今着ている黒のワンピースにGPSが取り付けてあるとか……? 再び頭の中で幾つもの疑問符を浮かべた時には、烏に背を向け駆け出していた。
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