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細い路地を、幾つも通り抜け、ひたすら走った。
辿り着いた場所は、私の行き先を阻む様に高い塀がある。
手前にはドラム缶が縦に置いてあった。
"イケる"
そう思った時には、その高い塀を軽々と越えていた私が居る。
高い塀を越えた先は空地だった。
塀に背中を凭れ考える。
何故……?
どうして……?
普通に生きていたら、ドラム缶を使っても越える事が出来ない程の高い塀だった。
ふと、リハビリ科の香山が言った言葉が頭の中に浮かんできた。
『何か運動してた?それか身体を鍛えていたとか?』
私は何をして生きていた……?
何故高い塀を越える事が出来たのだろう……?
思い出せそうで思い出せない。
仕方ない。と諦め、今夜寝る場所を探す為に、空地から道路に出た私は足を止めた。
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