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私の視線の先に、フルスモークの黒のベンツが停まっていた。
そのフルスモークの黒のベンツに凭れ、煙草を吸っているのは、黒のサングラスをかけている烏。
「何を考えてやがる?」
何も答えずに、黒のサングラスの奥にある烏の瞳を見る。
「てめぇに言ったはずだ」
烏はそう言うと、吸っていた煙草を足元に捨て、それを靴で踏みつけ、私の方へと近づいて来る。
「てめぇの飼い主は俺だと」
その言葉を聞いた時には、身体を引き寄せられ、荷物の様に肩に担がれていた。
逃げようと思えば……逃げられた。
抵抗しようと思えば……抵抗出来た。
それをしなかったのは、久しぶりに走って、少し疲れたと感じたから。
烏は、荷物の様に私の身体を放り投げた。
体制を立て倒して、車の後部座席だと言うのが分かった。
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