翠蓮華(上)

（８）

蓮華の熱が下がったのは、俺が来てから４日目。

その間、ひたすら推理小説を読んでいた。

飯は、高津が持って来てくれたし、その高津に任せ、自宅に帰り、シャワーを浴び、蓮華の自宅に戻って来ていた。

「翠、ありがとう。何か美味しい物を作るから、買物に行くね」

相変わらず、推理小説を読む俺に蓮華が言った言葉。

「病み上がりだから、俺も着いて行く」

そう言ったのは、俺の気まぐれ。

「何か食べたい物ある？」

蓮華の問い掛けに『なんでも食べる』と答え、蓮華と一緒に部屋を出た。

マンションを出て、何気に辺りを見渡した俺の視線の先に、組員の姿を数人見つけ、『チッ』と小さく舌打ちをし、蓮華の後ろを歩く。