命を待つ町で

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日に日に乏しくなる食料が この戦争の厳しさを教える中でも 私、産まれた将太、ミドリ、アカネを おかあちゃんは 「欲しがりません!勝つまでは、や!  関東大震災のときも、コレラが  流行ったときも、みんな懸命に  切り抜けてきたんや。やれるよ、  頑張れる!やっていくんや!」 歌い励まし、守ってきてくれた。 そして昨夜・・・ 今までにない大空襲。 一緒に手を繋いでたはずの ミドリとアカネの姿が消えてた。 「どうなったんやろ・・・  あの子ら、アカンかったんかなあ」 不安がつい漏れるけど おかあちゃんは床下やら 防空壕やらから 「使えそうな米がある。  お粥を炊いてみるわ」 何やらごそごそし始めてる。 「なあ、おかあちゃん、  ミドリやアカネ」 「ゴチャゴチャ言うてんと  将太のオシメみて、乳や!  乳やらんと!」 「あ、」 背中の将太にやっと気づいた。 よう・・・寝てた・・・。
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