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「カオル、君が死ぬまでに、少し時間が出来た」
薄暗い部屋の中、明るい声が響いた。
カオルと呼ばれた青年。
ベッドの上で体育座りをし、左右に小さく揺れている。
「この部屋に、暇をつぶせるモノは、何もないねえ」
格子のついた小さな窓がひとつ、いつも暗い五畳ほどの空間。
家具は床に固定されたベッドと椅子、間仕切りがついただけのトイレ。
外界とは、ぶ厚い、いくつも鍵がついた扉で隔てられた。
――――ここは、病院の特別な一室だ。
「そうだ、ここまでのあらすじを、一緒に振り返ろうか」
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