第9話 優しいアメ

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 薄暗い部屋のなか、ぱちぱちという音が止んだ。  盤の上はほとんど埋まり、黒と白が同じくらい。  鵜飼がぱちっと音を立て、黒と言葉を返す。 「組織にずっとこき使われてたから、最後ぐらい、楽しみたかったんだよ」 「鵜飼、このゲーム、俺が勝つんだろう」 「君、強いからねえ」 「鵜飼、お前、俺に殺して欲しいんだろう」 「僕を殺しても、鳥居と桜田ふたりの仇が討てて、君が捕まることはない。十一年前と同じだよ」 「鵜飼、俺は、もう誰も殺さない」
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