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薄暗い部屋のなか、ぱちぱちという音が止んだ。
盤の上はほとんど埋まり、黒と白が同じくらい。
鵜飼がぱちっと音を立て、黒と言葉を返す。
「組織にずっとこき使われてたから、最後ぐらい、楽しみたかったんだよ」
「鵜飼、このゲーム、俺が勝つんだろう」
「君、強いからねえ」
「鵜飼、お前、俺に殺して欲しいんだろう」
「僕を殺しても、鳥居と桜田ふたりの仇が討てて、君が捕まることはない。十一年前と同じだよ」
「鵜飼、俺は、もう誰も殺さない」
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