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「沖光、登場が遅かったな。一義君、そんな構えじゃ、弾が入ってないと分かるぞ」
榎本がびくりと両肩を揺らし、沖光が鋭い視線を向け言った。
「慎一郎さん、私とともに、組織の壊滅に協力して下さい。死ぬ前に、格好いいところを見せて下さい」
「沖光、僕は、そういう、君のまっすぐなところが嫌いだった」
「知ってますよ、あなたが、私を愛してなかったことぐらい」
「じゃあ、どうして、そんなことを言うんだ」
「竹山君と、同じだからです」
「そうか」と言い、鵜飼は片手の銃を床に落とした。
「竹山、君の勝ちだ。僕は余命半年の病人だが、生きてる間は、協力してあげようねえ」
『第9話 優しいアメ』 了
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