君が居なくなってからの日々

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君が居なくなってからの日々

 君がこの部屋から姿を消して、二週間がたった。  枕元に置かれたままの、使いかけのグロス。靴箱の奥の、赤いハイヒール。洗面台には色違いの歯ブラシが二本。シングルベッドですら広く感じる。二人で暮らすには狭かったはずの部屋が、今はこんなにも広くて寒い。気付けるはずだった何かに想いを馳せて自分を責め立てる時間よりも、この部屋に点々と残る君の残滓を追い求める時間の方が増えた。そこにもう君の残り香はない。ただそれが具体的な形をもって染みを作っているだけだ。  寂しい、というのは何か違う。人生の余白のようだった。君のいない人生に綴る物語は何ひとつとして存在しなかった。きっと僕の人生は、二週間前で止まっている。  一人暮らしに戻ったはずなのに部屋は綺麗だった。君がいた頃の習慣は何ひとつとして抜けていなかった。

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