初恋

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真っ白な紙はすぐ返ってきた。 「何も書いてないじゃん」 破れないようにそっと紙を引っぱって取り戻す。 「だって、決めてないもん」 高校2年生、16かそこらで将来なんか見えない。 「進学か、就職か。それくらいは考えてるんだろ?」 「そっちこそどうするんだよ」 んー…、とか言いながら目を閉じて考えてる風を装っている。 どうせ決めてないんでしょ? 「詩音が行く所についていきたいなあ、俺は」 「どうして?」 「好きだから」 自然な流れで告白された。 「詩音は俺のこと好き?嫌い?」 笑顔で聞いてくるのは僕をからかってるのだろうか。 それにしても聞き方がひどい。ここで「嫌い」って言えば、教室カーストの末端にいる僕の居場所がなくなってしまう。 「好き」 そう答えるしか選択肢はなかった。 誰にもいわないつもりだったのに。 僕の好きな人を。
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