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 温泉から戻った俺はマギサの買い出しを手伝っていた。荷物を抱えながら、改めて街を眺める。建物は煉瓦造りでヨーロッパのおとぎ話を彷彿とさせた。行き交う人々も耳が尖っていたり頭が獣だったりと、ファンタジーの映画のようだ。前からやってくる牛頭の男に少しビビりながら、マギサの背中についていく。  しばらくすると、今度は市場のような場所に到着した。布を屋根のように掛けられた屋台には様々な物が売られている。 「イサムさん、荷物重くはありませんか?」  マギサが心配そうに声をかけてきた。確かに両手で抱えるほどだが、中身は魔法で使いそうな道具や薬草である。 「平気だ。これくらいできないとな」  というかこういうことしかできないし。荷物を持ち上げてみせた自分が情けなかった。誰でもできそうなことすら心配されるなんて。サムはそんなにダメな奴だったのか。 「無理はなさらないでくださいね」  そんな自分にも微笑んでくれるマギサ。生命を操ることができるのだから、偉大な魔法使いなんだろう。ヒネーテもパッセルもすごいのに、なんで・・・・・・。 「やっぱり無理してませんか?」  マギサが眉尻を下げて訊く。 「だから、大丈夫だって」 「なら、難しい顔しないでくださいよ」
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