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 訴えるように声を上げ、目を開けるとそこはベッドの上だった。生きているのか・・・・・・というか口が甘い。 口の中を舐めると、なぜか甘塩っぱさがあった。とりあえず身体を起こすと、ベッドの周りにいた3人の若い女が俺に視線を向ける。俺が真っ先に気になったのは髪色だった。ピンクに黄色、青。服も見慣れないものだし、コスプレイヤーにでも囲まれているのか。それに、部屋自体もよく見ると、木材やレンガで作られていて、まるで外国に来たみたいだ。いったいどうなっている。 「・・・・・・サムなの?」  ピンクの髪をした女が口を開いた。相手は俺の名前とかを知っているようだ。俺が返事をすると3人はたちまち笑顔になった。黄色い髪の少女が俺に飛びつき、頬ずりをする。 「やったあ。サムが生き返った」  少女は何度も名前を連呼した。よく聞くとサムって言っていないか、この人たち。俺は少女の肩を掴み、自分から引き剥がす。 「申し訳ないんだけど。俺はサムじゃない。勇(いさむ)、御剣勇」  改めて名乗ると3人はお互いの顔を見合せた。 「マギサ、これはいったいどういうことだ」  青髪のポニーテールをした女性が問いかける。考え込む様子からピンクの髪の子がマギサだろうか。 「たぶん遠くの世界の魂が来てしまったんだわ。魂で呼び寄せたときに死んでしまったから」 「俺、死んだの?」
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