金を作る方法

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金を作る方法

あれから、二日が経った。 今日、またアイツが来る。 銀行や街金などにも取り合ったが、 案の定審査は通らなかった。 「どうしようか…」 ……もちろん呟いても答えが出て来る訳が無い。 二日前の様に夜空を見上げながら、 帰路を歩いていた。 どうやら、今日は雲がかかっているようで月の光がやっと見えるくらいだった。 そんな事を思っていると、解決策が出ないまま家まで辿り着いてしまった。 ……仕方がない、何とか今日は帰って貰らおう。 「ただいま」 「……………」 返事が無い、いつもだったらどんなにも、咳き込みながらでも返事をする母が、 嫌な予感がした。 靴を脱ぎ、急いで居間まで行った、 そこに居たのは、 焦点の合わない目をして、力なく横たわる母の姿だった。 「っ………!!」 俺は急いで母に駆け寄り、意識を確認した。 どうやら、息はあるようだが、このままでは危険だ。 ………病院に行かなければならない、 金はないが、どうにかしよう。 その後は、急いで家の近くにある電話ボックスまで行き、救急車を呼んで母と一緒に病院まで行った。 …一命は取り留めたものの、入院が必要との事だった。俺は、母の様子が落ち着くのを見て家に帰ってきた。 「これから、どうすればいい…」 ……消えてしまいそうなか細い声、 続く災難に、 意識せずにポロッと弱音が口から出てきてしまう。 そこまで、神経がすり減っていた。 バン!!バン!!バン!! まただ、またアイツだ、うちから取れるだけの金を取り、それでも搾取し続けるクズ、アイツが俺らを苦しめる。 殺さないと…… ぽつっ…とそう思ってしまった。 散々、苦しめられた… 殺さないと…このまま採取し続けられる。 母が倒れてしまったことと、あの男に対しての怒りが混ざりあっていく。 自分が壊れていくのを感じた。 気付くと、少し錆び付いた包丁を持ち扉の前に立っていた。 バン!!バン!!バン!! あの男は懲りずに、まだ、叩いている。 俺は、扉のカギを開けた。 「何ですぐに開け………」 ズサ… 男の言葉が途切れる、 腹を一突きしたからだ。 「お前、……」 ドサ… 男が倒れる、どうやら死んだらしい。 すると、男のポケットから何かが出てきたのがわかる。 財布だ。 中を確認すると、 3万円入っていた。 「何が、金がないだ……」 3万もあれば2ヶ月今の暮らしをし続けてもお釣りがでてくる。 ただ、これでは母の入院費には到底及ばない。 「…………………ダメだ。」 今、自分の頭に浮かんだ、金を作る方法に、 俺は、顔を振った。 俺は、仕事をしていた時に買ったボストンバッグを持って死体を入れ、そこらに着いた血痕などを拭き取り、家を出る。 場所は家の近くにある、沿岸の崖でいいだろう。 相変わらず空は雲に覆われていた。
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