壊れる心

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病院まで息を切らして走りようやく着いた。。 指輪を使う事が、間違えている事くらい分かる。 ……ただ、こうでもしなければ母の命が危ない。 勢いよく病院のドアを開ける。 病院の中は、騒がしかった。 「!!月宮さん」 話しかけてきたのは、母の担当医だった。 「来てください、お母様の容態が、急変して、………」 俺は、担当医と母の病室へと向かう。 そこに居たのは、薬と栄養を投与するために繋がった管にまみれた母の姿だった。 「もう、……助かる見込みはないです」 俺は母のもとえ歩みよる。 「母さん……」 母がゆっくりと口を開く、 「慎司……」 慎司、俺の名前だ… 「ごめんなさい……苦しい思い……させちゃって」 ……謝るのは、俺の方だ。 俺が不甲斐ないばかりに 母にこんなにも辛い思いをさせている。 「こんな母親で……ごめん…ね」 ピッ……ピッ…… 心拍数が減っていく。 金が無くて、こんなにも母を苦しめた。 金が欲しかった。 金があれば、金さえあれば、母をふうにすることはなかったはずだ。 金さえあれば…… 「ありがとう……」 ピッーーーーー 「わぁぁぁぁ、うゎあぁぁぁぁ」 俺は赤ん坊の様に泣きじゃくった。 母の細々とした体を抱いて、声をあげて泣いた。 そんな俺の目に見えたのは、 息をしていない母と、その上に置かれた茶封筒だった。
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