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閑の手を、握り返す。
「僕、お前の夢に勝手に自分の夢重ねて、
追いつけないって一人で喚いて、
もっと、早く病院に連れて行くべきだったのに……。
あの頃は自分のことしか、考えて無くて」
「隼人」
閑が僕を見上げる。
その目を見返すだけで、胸が苦しくなった。
「今だって、せめて、メートルでいたいのに、
お前といると、駄目なんだ。
好きで、好きで……っ、一緒にいたくて。
でも、仕事と、この気持ちが混ざるたびに、
僕は閑とうまくいかなくなるから」
溢れる感情のままに話す言葉は上手くまとまらない。
「閑と一緒にいたい。
でも、その方法が……わからない。
こんな気持ち全部捨てて、仕事でつながれたら、一緒にいられるのか、
それとも、恋愛感情だけで、いいのか」
握り合った手が、声が、将来の別離に怯えて震える。
「俺も同じだよ。
あの頃は自分のことしか考えてなかったし、今だって怖いよ。
本当は、隼人が誰かと結婚するのも、恋人がいるのも、
想像だけで耐えらんないくらい、いやだ。
でも、それ以上に俺、隼人にメートルでいてほしいから」
僕たちは、きっとずっと、レストランの仕事があったから、こうして今も、かろうじてつながっていられた。
言葉を苦しい思いと一緒に吐き出す。
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