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店では、最近は普段の営業と並行して、ムニュ・デギュスタシオンとスイーツコースの準備が進んでいた。
当日は完全予約制だ。
最初は告知を行っても中々予約が伸びなかったが、確定したメニューをお店のSNSに写真付きでアップするようになってから、予約が少しずつ埋まり始めた。
「はい、かしこまりました。お待ちしております。……失礼いたします」
向こうの通話が切れたのを確認してから、店の電話を置いた。
「どう?」
閑に尋ねられて、電話しながら予約の入力をしていたタブレットを見せる。
「スイーツコース、女性二名様」
「やっぱりそっちの方が埋まるの早いねー」
「だね。ただ、他の日の予約も増えてきたよ」
最初は、スイーツコースとムニュ・デギュスタシオンの宣伝のために始めたSNSだったが、デセールの写真はやはり見た目の美しさから反響があり、通常のランチやディナーへの問い合わせも増えていた。
「ありがたいねー、ほんと」
「うん、SNSには悩まされたり助けられたりだね。
あ、閑、できればランチタイムのない日に時間とって欲しいんだ」
閑が何度か瞬きをして不思議そうにしている。
「僕と彩音と、できれば厨房含めて、当日の流れ確認したい。
デセールのコースの間は、基本ケンシンとまき乃さんで回して、
その間遠也はディナーの仕込みしつつ、
余裕があればランチのアシスタントだよな?」
「うん。で、その後はいつも通り遠也が仕切ってディナーになる」
「ランチとディナーの合間が、結構忙しくなると思うんだよ。
それに、夜は単純にサーブの回数増えるし、
調理側もイメージ掴んでほしいから、
リハーサルっていうと大げさだけど……そういうのやっておきたい」
心配しすぎかもしれないが、当日は普段と営業形態が変わる上、お客様も多くなる。
ランチからディナーへの流れと、大体一人で何皿サーブ可能なのか、ワゴンなどでサーブする必要があるのか、色々と確認しておきたかった。
「ん、わかった。
それはやっといた方がいい思うから、みんなにも話して時間とるわ」
お客様が増えていることも、月一のイベントが控えていることも、店の空気を張りのあるものにしてくれていた。
「今日は結構予約入ってるから、頑張ってね」
「ん」
頷いてタブレットを置く。
遠也も開店したころより仕事に慣れてきて、以前のようにこちらの指示を聞かないようなことはなくなった。
その代わり、普段の仕事にメニュー作りと、忙しそうで心配だ。
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