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 無事に今日の営業を終え、掃除をして全体のチェックを済ませる。  バックヤードに入ると、私服に着替えた彩音が椅子に腰掛けていた。 「お疲れ。帰んないの?」  僕の言葉に視線を上げて、彩音が少し周りを気にしてから口を開く。 「隼人、今日暇? 私とケンシンと遠也で飲みに行くんだけど、 一緒に行かない?」 「まき乃さん行かないの?」 「まきさん、今日おんじゃくが定休日だから 『章太郎が家で待ってるからー』ってめっちゃウキウキして帰ったよ。 うらやましいくらい仲いいよね」  まき乃さんとショウさんは、確かにとても仲睦まじい。  たまに愚痴も聞くが、ショウさんがたまに夜更かししてゲームをするとか、却って微笑ましいくらいのものが多い。 「閑は?」  誘わないのかと聞くと、彩音は大げさに手を振った。 「抜き抜き。閑、酔うと下ネタ言うし、ゲラだし、 ……今日はオーナー抜きで行こうよ」 「んー」  制服のベストを脱ぎながら相づちを打つと、彩音がからかうような声を出した。 「閑が来なかったら行かない?」 「いや、行くよ」  髪をほどいた彩音は、ゆるくパーマのかかった髪を軽くかき上げてスマホを見た。 「お店どうしよ。隼人、なんか食べたいのある?」 「洋以外」 「ざっくりしてんな~」  と言いながら、彩音はスマホで店を調べているらしい。  厨房から、作業を終えたらしいケンシンと遠也が出てきた。 「お疲れ。隼人も来るよな?」  ケンシンの問いに頷くと、遠也が少し驚いた顔をした。  僕が来ると思っていなかったのかもしれないが、別に遠也のために引く必要もないだろうと、彼の反応には気づかないふりをした。 「ねー、店決まんない。隼人は洋以外だって」 「俺がたまに行く沖縄料理屋にするか?」  コックコートをバサリと脱いで、ケンシンは彩音を気にせず着替え始める。  彩音も特に気にしないが、スマホの画面を見つめているのは、多少の配慮なのかもしれない。 「みんなそれでいい?」  特に異論も出なかったので、みんなで飲みに行くことになった。
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