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「はー……。結構違うね、ワインバーとレストランだと」
彩音がため息をついた。
「どっちのが上とかじゃないけどね」
ワインバーは、プライベートで醸造家を訪ねるような彩音が勤めていた場所だから、おそらくワインそのものを求めるお客様も多かったことだろう。
レストランはどうしても、お祝いや仕事での食事など、誰かと過ごすこと自体に重きが置かれることも多いので、お客様が求めることも違う。
「でも、彩音はサービスもちゃんとできてるからありがたいよ」
「そぉ?」
と言いながら彩音は嬉しそうだ。
「あ、もう一組リピートのお客様がいらっしゃるんだけど、
そちらは前回同様ビジネスでのご利用で、
お連れになるゲストの方としっかりお話されてたから……」
「あんまりこちらからぐいぐい行かない感じ?」
「うん。席決まったら教える」
「はーい」
予約のリストを見ながら席順を考える。
業種にもよるがビジネス利用のお客様は、隣り合うテーブルは避けたほうがいい。
色々と頭を巡らせているとふっと笑いが漏れた。
最初はそんなことに悩まずとも、お客様同士の席を離すだけで済んだのだから、こうして悩めることが嬉しい。
少しずつ、お客様が増えてきた。
最初の赤字続きだった時期の分を取り返すにはまだもう少しかかるだろうが、僕たちはようやく一つ山を越えたところだ。
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