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それからというもの、閑が、レストランを開けることが少し増えていた。
下も育っているので、彼の不在がレストランで問題になることはなかった。
理由を尋ねると、日本の雑誌社の取材だと言われたが、仕事の時間を削ってまで閑が取材を受けるのが不思議だった。
あれ以来、閑の状態に注意していたが、腕の痛みについても、仕事についての話も、いつものように軽くあしらわれるだけだった。
今日から、閑の新しいルセットがまた一つメニューに載る。
メインはジビエで、メートルによるデクパージュ(切り分け)がある。
今日日少なくなった、ゲリドン・サービスだ。
僕はこの料理のサービスをするのが、待ち遠しかった。
彼の作った料理が、お客様のテーブル上で完成する。
仕上げをするのは、僕たちメートル・ドテルだ。
彼の料理を、僕が運ぶ。
ゲリドン・サービスでは、料理とお客様を結ぶものが、僕たちの役割が、大きく、太くなる。
――これがちゃんとできたら、閑と話し合おう。今日、デクパージュができたら、どれだけ言い争いになってもいい、僕らのプライベートの関係が破綻してもいい。
このサービスが完璧にできたら、これから僕と閑がどうなっても、僕は閑の料理を運ぶという約束を、ずっと守っていける気がした。
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