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トラックの後部にいったん張りつくようにすると、ラズとダイゴは辺りの気配を探る。
敵はいないようだ。これからやって来るのか? 乗っていたヤツらはどうした?
「静かだな?」
小声で言うダイゴ。
「ああ。でも、殺気はないが、誰かいるぜ」
トラックの荷台を顎で示すラズ。
2人頷き合うと、銃を手にしたまま勢いよく荷台の後部ドアを開けた。
こ、これは……?!
愕然として、ラズとダイゴは中の光景を凝視する。
そこにはマサヤがいた。そして……。
「な、なんだ、あれは?」
柳の部下が震える声で言った。後ろから来た柳が彼の肩を掴み、下がっていろとでも言うように顎で指示する。
マサヤが見上げる先に、見たこともない生物がいた。いや、あれは……。
「ブル……?」
ラズが囁くように言い、ダイゴと顔を見合わせた。
「……のミニチュア版みたいだな」
ダイゴが首を傾げながら応える。
そう。言ってみれば、ブルと人間をかけ合わせたような感じだった。それが、次第に身体を萎ませるように、小さくなっていく。
「равильно, Игорь. Я возвращаюсь к своей первоначальной форме」
マサヤの語りかける声。今、イーゴリと……?
「なんだって?!」
ラズは思わず叫ぶように言った。そして、まじまじとその生物を見る。確かに、顔にイーゴリの面影を感じた。瞳はそっくりだ。
まさか……。
隣でダイゴが、ゴクリと唾を飲み込んでいた。さすがにタフガイも、見たこともない光景に驚愕している。
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