SCENE 96 建設中のショー・パブ ラズ

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 トラックの後部にいったん張りつくようにすると、ラズとダイゴは辺りの気配を探る。  敵はいないようだ。これからやって来るのか? 乗っていたヤツらはどうした?  「静かだな?」  小声で言うダイゴ。  「ああ。でも、殺気はないが、誰かいるぜ」  トラックの荷台を顎で示すラズ。  2人頷き合うと、銃を手にしたまま勢いよく荷台の後部ドアを開けた。  こ、これは……?!  愕然として、ラズとダイゴは中の光景を凝視する。  そこにはマサヤがいた。そして……。  「な、なんだ、あれは?」  柳の部下が震える声で言った。後ろから来た柳が彼の肩を掴み、下がっていろとでも言うように顎で指示する。  マサヤが見上げる先に、見たこともない生物がいた。いや、あれは……。  「ブル……?」  ラズが囁くように言い、ダイゴと顔を見合わせた。  「……のミニチュア版みたいだな」  ダイゴが首を傾げながら応える。  そう。言ってみれば、ブルと人間をかけ合わせたような感じだった。それが、次第に身体を萎ませるように、小さくなっていく。  「равильно,(そうだよ、) Игорь(イーゴリ。). Я возвращаюсь к своей(戻るんだ、) первоначальной форме(元の姿に)」  マサヤの語りかける声。今、イーゴリと……?  「なんだって?!」  ラズは思わず叫ぶように言った。そして、まじまじとその生物を見る。確かに、顔にイーゴリの面影を感じた。瞳はそっくりだ。  まさか……。  隣でダイゴが、ゴクリと唾を飲み込んでいた。さすがにタフガイも、見たこともない光景に驚愕している。
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