SCENE 11 路地

3/5
147人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
 「誰に頼まれた? さっきドローンを操っていたのは何者だ?」    小銃の先を順番に向けながら訊くダイゴ。  男達は躊躇っていた。何か言おうとしては口を噤む。誰が一番口が重いか競い合っているようでもあり、この状況からすると滑稽に見える。  「義理立てしなきゃなんねえような相手じゃねえんだろう? どうせ金で動かされただけだ。言っちまった方が楽だぜ。あんまり口が開かないなら、代わりにケツかへその穴を一つ増やしてやってもいいんだけど、どっちがいい?」  ラズも銃を突きつけながら言った。  「ネ、ネオ・ジェロン社だ……」  一人が絞り出すような声で応えた。別の2人が「おい……」と視線を向けるが、仕方ないだろう、という顔で続ける。  「ロシアの親子を確保しろってな。生死は問わないそうだ。邪魔する奴も始末しろって」  「ネオ・ジェロン社だと?」  顔を顰めるダイゴ。視線を合わせたラズは肩を竦めた。  マサヤもその名は知っていた。世界でも有数の軍需産業だ。  悪名も高い。数十年前、自社の武器や兵器を世界中のテロ組織に供給し、実験させていた事が明るみに出て一旦企業として没落していたが、近年になって持ち直してきた。業績が上昇してきた裏には、昔のように黒い事業も行っているのではないかと噂されている。  「何でネオ・ジェロン社がロシアの親子を狙う?」  ダイゴが続けて訊く。  「いや、ネオ・ジェロン社も仲介しただけだと言っていた。本来の依頼主は伏せられていたよ。それ以外は知らねえ。俺達はただ、集められて賞金を提示されただけだ」  「あとどのくらいが雇われてる?」  「俺達と一緒に集められたのは、今あんたらに皆殺しにされたよ。他の連中のことはしらねえ。ただ、噂では、ロシアン・マフィアの一部が関わっているようなことも言われてる」  「ロシアン・マフィアも、ここの支部は協議会に参加してる」  ダイゴがそう言うと、ラズがちょっと顔を顰めた。柳の事を思い出しているのかも知れない。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!