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SCENE 13 商店街近くの路地
占術師の館を出ると、柳はゆっくりと歩いた。
この辺りは静かだ。
海側に行っても、あるいは内陸側に行っても、夜通し飲んで騒ぎ、小競り合いやちょっとした命のやりとりが絶えない場所で溢れている。そう考えると、中心にあるこの区画が世界公園の中では異空間のように感じられた。
商店街を折れ、路地へと入る。すると、一人の男が朧気な光の下に立っていた。
ほう、珍しい。久しぶりに、おもしろい感覚だ。
立ち止まる柳。
「柳だな? まさか、一人で夜道を歩きまわっているとは思わなかった。ツイてるな」
「先に名乗りな」
「これから殺す相手に名乗るつもりはない。化けて出られたら困るんでね」
「そうか……」
呟くように言う柳。両手はポケットに突っ込んだままだ。
「動くなよ。俺は早いぜ」
男が強く言い放つ。よく見ると、腰にホルスターがあり、銃が納められていた。今、男はそれに手をかけている。早いとは射撃のことを言っているらしい。
「ほう、どのくらい早いんだ? 次元大介ほどじゃないだろう?」
「誰だそれは?」
「知らないのか? もぐりだな」
「ふざけんな。早くて有名なのは例の特別遊撃捜査班の小娘、ラズらしいが、俺はあいつに勝って犯しまくってやるつもりさ」
「それはまた勇ましいな」苦笑する柳。
「お喋りは終わりだ。この場で協議会解散を宣言しろ。各組織の頭にあんたの声で連絡するんだ。そうすれば、苦しまないように殺してやる。拒否したら、了承するまで両手両足を順番に撃ち、次に内蔵を一つずつ潰していく。どうする?」
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