1人が本棚に入れています
本棚に追加
季節が終わる。 そしてまた始まる。
「俺さ、母さんからお前と遊ぶなって言われてんだよ」
「ははは、じゃあなんで居るんだよ」
笑いながら言った学生の言葉に、友人は笑って返す。
早朝のマック。 四人でテーブルを囲む少年たちは、もう朝が近いと言うのにまるで眠たさを知らぬように楽しげに話している。
「いやそんなの今更じゃん」
「あー、まあ」
特に考えることも無い、他愛もない会話。 マックのベーコンポテトパイを一口食べた少年は、もうすぐ出番も終わりを迎えるニット帽を整えて言葉を続ける。
「言っても、どうせ大学卒業してもこのままだろ」
「変わらねー、てかなんで俺アウトなの」
「進路決まってねえからだろ」
「じゃあ一生アウトじゃん」
「いや決めろよ」
そう言って彼らは笑い、また全然違う話題に切り替える。
彼らはもう、大人へ片足を踏み入れているのだろう。 もう一年が過ぎれば、きっと大人へと両足を踏み入れて新しいスタートを切るのだろう。
季節が終わる、人はまた育つ。 変わらない日常の中で成長しないなと笑い合える時間がある。
終わった季節がまた新しく始まる時、その成長しないと笑い合った時間が、何よりも成長に必要だったと知るのだろう。
何も知らない私はそんなことを考え、砂糖もフレッシュもないコーヒー色の眠気覚ましを飲む。
「……不味い」
何よりも顔を顰めさせるこの飲み物が、いまの私には必要なのだろう。
小さくため息をついた私は、目の前のテキストエディタに今日が納期の原稿を打ち込むのだった。
最初のコメントを投稿しよう!